2025年1月18日、東大阪市文化創造館にて開催された「令和6年度 中河内医療圏がん診療ネットワーク協議会シンポジウム」において、当事務所の泉宏明弁護士が講演を行いました。
本シンポジウムは、中河内医療圏(東大阪市・八尾市・柏原市)のがん診療ネットワーク協議会が主催し、がん医療の最前線を市民と共有するための年次イベントです。
今年度のテーマは「AYA世代(若い世代)のがんを知ろう」。特に、AYA世代におけるがんの特徴や治療における課題に焦点が当てられました。
AYA世代のがんとその課題
AYA世代のがんはがん全体の2%程度を占めるに過ぎませんが、好発するがんの種類は一般成人とは異なります。
しかも就学・就労、結婚、妊娠・出産、子育てなど重要な人生イベントを経験する時期と重なるため、その療養支援は多岐にわたります。
弁護士としての視点
① 病気だからこそ「普通の生活」を大切に
「がん患者だからといって仕事を辞める必要はない。できることを続けることが精神的にも良い」と述べ、仕事を続けることの大切さを強調しました。
がんを理由に職場を離れたことで精神的なダメージを受ける人も多く、就労支援や環境の整備が重要だと指摘しました。
② やりたいことを先延ばしにしない
「”今やりたいことは今やるべき” 」と述べました。
長期的な計画よりも、人生の質を向上させるために、やりたいことを優先することの重要性を説きました。
③ 「がんに効く」とされる怪しい情報に惑わされない
「民間療法にはお金をかける価値はない。がん治療は医学的根拠に基づいて行うべき」と強調し、エビデンスのない療法に頼る危険性についても言及しました。
④ 「神頼み」よりも「良い薬」を
「神様に祈るのではなく、より良い治療法を探し、適切な医療を受けることが大切」と述べ、冷静な判断と適切な医療の選択が重要であることを参加者に伝えました。
⑤ 公正証書遺言の重要性
泉弁護士は、法律の専門家として、がん患者にとって遺言書の作成は重要な備えであることを指摘しました。
特に公正証書遺言を作成することで、相続トラブルを防ぎ、残される家族への負担を軽減できるとアドバイスしました。
パネルディスカッション:「AYA世代のがんと向き合う」
講演の後、泉弁護士は医療従事者とともに、AYA世代のがん患者に必要な支援について討論を行いました。
- 仕事と治療の両立支援の必要性
- がん患者の精神的サポート
- 治療費や社会保障制度の周知
特に「がん患者が孤立しないためのサポートの充実」が重要だと述べ、社会的な支援の強化を呼びかけました。
AYA世代のがん患者と社会の支え
今回のシンポジウムでは、AYA世代のがんは全体の2%程度と少数派ながら、就学・就労、結婚、妊娠・出産、子育てなどのライフイベントと重なることから、特有の課題が多いことが改めて明らかになりました。
また、AYA世代のがん患者は情報が少なく、相談できる場が限られているため、社会全体での支援が求められています。
泉弁護士の講演を通じて、がん患者のリアルな声と、法律の専門家としての視点が共有され、参加者にとって貴重な学びの機会となることを期待します。
まとめ
本シンポジウムを通じて、AYA世代のがん患者が直面する課題とその解決策について、医療と法律の両面から多角的に考える機会となりました。
特に、泉弁護士の講演では、多くの参加者が共感と気づきを得たと感じました。
がん患者が社会の中で自分らしく生きるために、必要な支援とは何か。
法律や医療の枠を超え、私たち一人ひとりができることを考えていくことが求められています。
当事務所では、がん患者の権利保護や相続に関する法律相談も承っております。
AYA世代のがんに関する法的なご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。