
皆さん、こんにちは。蒼生法律事務所の代表弁護士、平野潤です。
当事務所では、遺産相続に関するご相談を数多くお受けしています。相続人調査、相続財産調査から遺産分割、遺留分、相続放棄、そして成年後見まで、相続問題は複雑で、一つとして同じケースはありません。
そのなかでも、特にご相談が多いのが、「寄与分(きよぶん)」という制度についてです。
私は長年、亡くなった親の介護をしてきたのに、他の兄弟と同様に、法定相続分通りにお金が分けられるのは納得がいかない。
数十年も家業である会社の経営を手伝って、相続財産を増やすのに貢献したはずなのに、報われないのか。
このように感じている方は、まさにこの「寄与分」が鍵になります。
この寄与分を正しく理解することは、遺産分割調停などの相続手続において、ご自身の主張を通りやすくするための重要な一歩です。
本日から全3回のシリーズで、この相続における重要テーマの1つである「寄与分」について、初心者の方にもわかりやすいように、ポイントを解説していきます。
第1回目は、寄与分の基本的な考え方である「特別の寄与」とは何か、そして、どんなパターンがあるのか(5類型)をご紹介します。
「特別の寄与」とは その意味と役割

そもそも「寄与分」って何でしょうか。
寄与分とは、亡くなった方(被相続人)の財産を維持したり増やしたりすることに特別に貢献した相続人がいる場合に、その貢献度を遺産分割の際に考慮し、その相続人がもらえる分を上乗せする制度です(民法904条の2)。
相続では、民法で定められた法定相続分(例えば、配偶者と子が2分の1ずつなど)に基づいて遺産を分けるのが原則です。しかし、特別に尽力した人がいる場合にまで、この原則をそのまま適用すると、不公平になってしまうことがあります。
その不公平を是正するために設けられたのが、この寄与分なのです。
「特別の寄与」とは、文字通りの「特別な貢献」を指します。
寄与分が認められるには、その貢献が「特別の寄与」である必要があります。
ここでいう「特別」とは、次の2点を意味します。
通常期待される義務の範囲を超える貢献であること。例えば、親子や夫婦として扶養したり、家事を手伝ったりするのは、相互扶養義務の範囲内と判断されます。
被相続人の財産の維持または増加に貢献したこと。単に親切にしただけでは足りず、財産的価値に結びつく必要があります。
つまり、家族として当然とされる協力ではなく、遺産の額を増やす、または減らさないために、通常では考えられないほど尽力した貢献でなければ、寄与分は認められません。
これを証明するためには専門的な判断と立証が必要となるため、弁護士へのご相談が重要になります。
どんなパターンがあるのか 「特別の寄与」の5つの類型

裁判実務では、特別の寄与が認められやすいパターンとして、主に次の5つの類型に分類されています。
| 類型 | 概要 | 具体的ケース |
|---|---|---|
| 家事従事型 | 事業に関する労務提供により 財産を増やしたケース |
父が経営する会社に無給または著しく低い給与で 長年従事し、財産形成に貢献した |
| 療養看護型 | 介護により本来必要な 費用支出を免れたケース |
長期間在宅介護を行い、 高額な施設費用や介護費用を節約できた |
| 財産給付型 | 金銭などの 財産を給付したケース |
借金の肩代わりや高額な医療費を 自己資金で支払った |
| 扶養型 | 経済的援助により 財産を維持したケース |
困窮する親に毎月多額の生活費を 長期間援助した |
| 財産管理型 | 財産管理により 維持や増加を実現したケース |
不動産の賃貸管理や会社経営を適切に行い 、財産の散逸を防いだ |
会社経営者や不動産オーナーの相続では、家事従事型や財産管理型が特に重要なポイントになります。
寄与分の注意点とリスク

寄与分は、すべての貢献が認められるわけではありません。
最も多い誤解は、寄与分が「愛情や献身」そのものに対する報酬だと考えてしまうことです。
あくまで、通常期待される義務を超えた行為で、かつ財産的価値として評価できることが必要です。
献身的な介護であっても、相互扶養義務の範囲内と判断されれば、特別の寄与とは認められない場合があります。
また、介護や援助の内容が金銭的に評価できなければ、寄与分として算定することは困難です。
この点が、遺産分割調停において寄与分の主張が難しくなる大きな理由です。
遺産相続で弁護士に依頼するメリット

寄与分を認めてもらうためには、特別の寄与の存在、財産との因果関係、金銭的評価額を、客観的な証拠で立証する必要があります。
療養看護型では介護記録や医療費資料、家事従事型では適正報酬との差額計算など、専門的な分析が不可欠です。
蒼生法律事務所は、寄与分を含む相続問題に精通した法律事務所として、複雑な主張を整理し、正当な相続を実現するためのサポートを行っています。
引用 出典
民法(e-Gov法令検索)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
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次回は、寄与分が認められる要件について、裁判例を踏まえて詳しく解説します。
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2004年の弁護士登録以降、個人・法人問わず幅広い事件を担当し、クライアントにとっての重大事には誠実かつ丁寧に寄り添う。命運に配慮し、最善策を模索。豊富な実績と十分なコミュニケーションで、敷居の高さを感じさせない弁護士像を追求してきた。1978年大阪府出身、京都大学法学部卒業。2011年に独立。不動産・労務・商事・民事・破産・家事など多様な分野を扱い、2024年6月に蒼生法律事務所へ合流。相続・遺言


