相続トラブルを防ぐ第一歩|預金・不動産・骨董品・暗号通貨まで財産調査のポイントとは?


皆様、こんにちは。
蒼生(そうせい)法律事務所、代表弁護士の平野 潤(ひらの じゅん)です。

この度は、私たちのブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
相続問題は、誰にでも起こりうる非常にデリケートな問題です。特に、大切な方を亡くされた悲しみの中で、複雑な手続きを進めなければならないご遺族の方々のご負担は計り知れません。

私たちは、そんな皆様の心に寄り添い、法律の専門家として最善の解決策をご提案することを使命としております。

さて、今回のテーマは、相続手続きの第一歩であり、最も重要と言っても過言ではない「相続財産の調査」についてです。

「父が亡くなったが、預貯金がどこの銀行にあるか全く分からない…」
「昔、田舎の土地を買ったと話していたが、詳しい場所が不明だ…」
「趣味で集めていた骨董品や絵画、これって価値があるものなの?」

実際に、私たちが日々お受けするご相談の中でも、このような財産調査に関するお悩みは非常に多く寄せられます。相続財産が正確に把握できていないと、後々、遺産分割協議がまとまらなかったり、税務署から申告漏れを指摘されたりと、深刻なトラブルに発展しかねません。

この記事では、相続財産調査でつまずきやすいポイントを具体的に挙げながら、初心者の方にも分かりやすく、その調査方法と弁護士に依頼するメリットを解説していきます。少し長くなりますが、皆様の不安を少しでも解消できれば幸いです。ぜひ最後までお付き合いください。

なぜ相続財産の調査がこれほど重要なのか?


相続が始まると、まず「誰が相続人になるのか(相続人の調査)」と「何が相続財産なのか(相続財産の調査)」を確定させる必要があります。この財産調査が不十分だと、以下のような問題が発生する可能性があります。

公正な遺産分割ができない 全ての相続財産が明らかになっていない状態では、誰が何をどれだけ相続するのか、相続人間で公平に話し合うことができません。
後から財産が見つかった場合、せっかくまとまった遺産分割協議をやり直さなければならなくなります。
相続税の申告漏れ・過少申告 相続税の申告は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。
財産の把握が遅れれば、申告期限に間に合わなくなる恐れがあります。
また、意図せず財産を申告しなかった場合でも、税務調査で指摘されれば、延滞税や過少申告加算税といった追徴課税が課せられてしまいます。
相続放棄の判断を誤る 故人に借金などのマイナスの財産が多い場合、相続放棄を検討することになります。
この判断は、原則として相続開始を知った時から3ヶ月以内に行わなければなりません。
プラスの財産もマイナスの財産もすべて正確に把握した上でないと、適切な判断は下せません。

このように、相続財産調査は、円満な相続を実現するための、いわば土台となる非常に大切な作業なのです。

【ケース別】こんな財産、どうやって調べる?弁護士に任せるメリット

それでは、具体的にどのような財産があり、どのように調査を進めていけばよいのでしょうか。ご相談の多いケースごとに見ていきましょう。

ケース1:預貯金先の銀行が分からない


最も基本的な財産である預貯金ですが、「故人がどの金融機関に口座を持っていたか分からない」というケースは、実は非常に多いです。ご夫婦であっても把握していない口座が見つかることがありますが、親子や兄弟姉妹の場合にはむしろ正確に把握していないケースの方が多いでしょう。

    ご自身で調べるには?

まずは、故人のご自宅や身の回りを丁寧に探してみましょう。

  • 通帳、キャッシュカード
  • 銀行からの郵便物(取引残高報告書、満期のお知らせなど)
  • カレンダーや手帳へのメモ(銀行の粗品など)
  • 公共料金の引き落とし通知
  • これらの手掛かりから金融機関が特定できれば、その支店に戸籍謄本など必要な書類を持参して、残高証明書や取引履歴の発行を請求します。しかし、すべての金融機関を一つひとつ虱潰しに当たっていくのは、大変な時間と労力がかかります。

      弁護士に依頼するメリット

    私たち弁護士は、「弁護士会照会制度(23条照会)」という、法律で認められた特別な調査権限を持っています。これは、弁護士が依頼を受けた事件について、官公庁や企業などの団体に必要な情報を照会できる制度です。

    出典: 弁護士会照会制度(弁護士会照会制度委員会)

    この制度を利用することで、例えばゆうちょ銀行やメガバンク本店に一括で照会をかけ、故人名義の口座がその銀行の全支店に存在するかどうかを網羅的に調査することが可能です(※注:金融機関によって対応が異なります)。これにより、ご遺族の方が支店ごとに問い合わせる手間を大幅に削減し、迅速かつ正確に預貯金を把握することができます。

    ケース2:不動産を各地に所有していたが、全部を把握できていない


    「バブル時代に、投資目的で地方の土地やリゾートマンションを買っていたらしい」「祖父母が住んでいた家が叔父・叔母と共有名義になっているらしい」というお話もよく伺います。権利証(登記識別情報)や固定資産税の納税通知書が見つかれば良いですが、それらがないと途方に暮れてしまいます。

      ご自身で調べるには?

    不動産調査の基本は、「名寄帳(なよせちょう)」を取得することです。名寄帳とは、ある特定の人が、その市区町村内に所有している不動産を一覧にしたものです。不動産がありそうな市区町村の役所(都税事務所や市役所の資産税課など)で申請すれば、取得することができます。

    しかし、どの市区町村に不動産があるか、見当もつかない場合は、この方法は使えません。

      弁護士に依頼するメリット

    弁護士にご依頼いただければ、心当たりのある地域や、過去の住所地などから可能性のある市区町村に見当をつけ、網羅的に名寄帳の取得請求を行うことができます。遠方の役所とのやり取りも、すべて私たちが行いますので、ご遺族の方の手を煩わせることはありません。

    また、取得した名寄帳や登記簿謄本の内容を精査し、共有名義になっていないか、抵当権は付いていないかといった複雑な権利関係まで正確に読み解き、財産としてどのように評価すべきかを判断します。

    ケース3:ゴルフ会員権やリゾート会員権があるかもしれない

    バブル期に流行したゴルフ会員権やリゾート会員権があるかもしれません。しかし、証券や会員証が見つからないと、調査は困難を極めます。

      弁護士に依頼するメリット

    これらの会員権は、単なる利用権ではなく、株式形態であったり、預託金形態であったりと、法的な性質は様々です。価値も、人気のコースであれば高値で取引される一方、今ではほとんど価値がないものも存在します。

    私たちは、故人の交友関係や趣味などから関係先を推測し、ゴルフ場やリゾート施設の運営会社に直接問い合わせを行います。会社が倒産・吸収合併しているような場合でも、粘り強くその後の権利関係を追跡調査します。そして、現在の資産価値を正確に評価し、相続財産として計上します。

    ケース4:暗号資産(仮想通貨)があったはず


    近年、急増しているのが、ビットコインやイーサリアムといった暗号資産(仮想通貨)に関するご相談です。デジタルデータであるため、物理的な手掛かりがほとんどなく、調査は極めて困難です。

      調査の難しさ
  • IDやパスワードが不明:故人しか知らない場合、ログイン自体ができません。
  • どの取引所を利用していたか不明:国内外に無数の取引所が存在します。
  • 秘密鍵の紛失:ウォレットで自己管理していた場合、秘密鍵がなければ永久にアクセスできません。
  • 参考情報:暗号資産を相続したときの税務上の取扱いについては、国税庁のサイトで詳しく解説されています。
    出典: 暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)(国税庁)

      弁護士に依頼するメリット

    ご自身での調査が絶望的な状況でも、諦めるのはまだ早いです。弁護士であれば、故人のパソコンやスマートフォンのメール履歴、アプリのインストール履歴などを徹底的に調査し、利用していた取引所を特定する手がかりを探します。

    取引所が特定できれば、弁護士が法的な代理人として、相続人であることを証明する書類を揃えて開示請求を行います。海外の取引所であっても、現地の法律や手続きに則って交渉を進めることが可能です。暗号資産の相続は、法整備や実務上の取扱いがまだ新しい分野だからこそ、専門家のサポートが不可欠です。

    ケース5:非公開株式の評価方法が分からない

    故人が会社を経営していたり、知人の会社に出資していたりした場合、その会社の株式(非公開株式・譲渡制限株式)も相続財産となります。ただ、非公開株式の場合、上場株式と違い、市場価格がないため、その価値をどう評価するかが大きな問題となります。

      評価の複雑さ

    非公開株式の評価は、税法(相続税法)で非常に複雑なルールが定められています。会社の規模や資産状況、収益力などに応じて、「純資産価額方式」や「類似業種比準価額方式」といった専門的な方法で計算する必要があり、高度な知識が求められます。

    出典: No.4638 取引相場のない株式の評価(国税庁)

    安易に評価すると、税務調査で否認されたり、他の相続人から「評価額が不当だ」と主張されたりするリスクがあります。

      弁護士に依頼するメリット

    私たちは、相続案件に精通した税理士や公認会計士と緊密に連携しています。企業の決算書などの資料を分析し、国税庁の財産評価基本通達に則った、最も適切かつ妥当な方法で株式価値を算出します。これにより、税務上も、遺産分割協議の場でも、誰もが納得できる客観的な評価額を提示することが可能になります。

    ケース6:海外資産の調査と評価

    最近では、国際化が進み、海外の銀行に預金があったり、海外に不動産を所有していたりするケースも増えています。

      調査と評価の壁
  • 法律と制度の違い:現地の相続法(準拠法)が適用される場合があり、手続きが日本のものと全く異なります。
  • 言語の壁:現地の金融機関や不動産業者、役所とのやり取りは、当然現地の言語で行う必要があります。
  • 物理的な距離と時差:手続きのために何度も現地に渡航するのは、現実的ではありません。
    1. 弁護士に依頼するメリット

    蒼生法律事務所では、現地の法律や実務に精通したプロフェッショナルと連携し、言語や時差の壁を乗り越えて、海外資産の調査・評価・相続手続きを進めることができます。

    ケース7:美術品・骨董品・宝飾品の評価


    故人が趣味で収集していた絵画、掛け軸、陶磁器、あるいは宝飾品。これらも立派な相続財産です。しかし、その価値は専門家でなければ判断がつきません。

      弁護士に依頼するメリット

    私たちは、各分野の専門の美術商や鑑定士と提携しています。ご自宅などに直接お伺いし、現物を査定してもらうことで、客観的で信頼性の高い評価額を算出します。本物か贋作かの判断も含め、適正な価値を把握することで、公平な遺産分割と正確な相続税申告に繋がります。ご遺族の方が、価値を知らずに安易に処分して安価で処分してしまうといった事態を防ぐことができます。

    ケース8:ビンテージ自動車、超高級自動車

    希少価値の高いクラシックカーや、フェラーリ、ランボルギーニといった超高級自動車も、その評価は簡単ではありません。

      弁護士に依頼するメリット

    これらの自動車は、単なる中古車ではなく、希少性やコンディション、来歴などによって価値が大きく変動します。私たちは、ビンテージカーや高級車の専門業者と連携し、市場の動向を踏まえた適正な査定を行います。オークションへの出品や、専門のコレクターへの売却といった、最も有利な換価方法についてもアドバイスが可能です。

    悩んだら、まず専門家にご相談ください


    ここまで、様々な財産調査のケースについてお話ししてきました。
    お読みいただいて、「思ったよりずっと大変そうだ…」「自分たちだけでやるのは無理かもしれない…」と感じられた方も多いのではないでしょうか。

    その通りです。相続財産の調査は、法律、税務、そして時には各分野の専門知識が複雑に絡み合う、非常に専門性の高い作業です。大切な方を亡くされた悲しみの中で、ご遺族の方々だけでこれら全てを完璧に行うのは、精神的にも時間的にも、そして物理的にも大きなご負担となります。

    手続きのどこか一つでも間違えれば、後々、ご家族の間で取り返しのつかないトラブルに発展してしまうかもしれません。そんな悲しい事態を避けるためにも、相続が始まったら、あるいは、ご自身の相続に少しでも不安を感じたら、できるだけ早い段階で私たちのような専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。

    蒼生法律事務所が、あなたの相続を全力でサポートします
    私たち蒼生法律事務所は、これまで数多くの相続案件を手掛け、様々なケースの財産調査を成功に導いてまいりました。

  • 豊富な実績とノウハウ:
    預貯金や不動産といった基本的な財産から、暗号資産や海外資産といった特殊な財産まで、あらゆるケースに対応できるノウハウを蓄積しています。
  • ワンストップサービス:
    税理士、司法書士、不動産業者、各種鑑定士といった他の専門家や専門業者と強力なネットワークを築いており、当事務所を窓口として、相続に関するあらゆる手続きをワンストップで進めることが可能です。
  • 親身で丁寧な対応:
    何よりも、ご依頼者様のお気持ちに寄り添うことを大切にしています。難しい法律用語は使わず、分かりやすい言葉で、ご納得いただけるまで何度でもご説明します。
  • 相続財産の調査は、いわば「宝探し」のようなものかもしれません。しかし、その地図もコンパスもなければ、大海原で迷子になってしまいます。私たち弁護士は、皆様が安心して航海を進められるよう、正確な海図と最新の航海術を提供する「水先案内人」です。

    「こんなことを弁護士に相談していいのだろうか?」
    「まだ本格的に揉めているわけではないし…」

    そんなご心配は一切不要です。問題が複雑化する前にご相談いただくことが、最もスムーズで円満な解決への近道です。

    蒼生法律事務所では、相続に関する初回のご相談を無料で承っております。まずはお話をお伺いし、どのようなお悩みがあり、どのようなサポートが可能か、分かりやすくご説明させていただきます。

    大切なご家族が遺してくれた財産を、未来へ、そして次の世代へと円満に繋いでいくために。
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