皆さん、こんにちは!蒼生法律事務所の代表弁護士、平野潤です。
遺産相続の重要テーマ「寄与分」について解説してきた本シリーズも、いよいよ最終回です。
第1回では、「特別の寄与」の意味と5つの類型を、第2回では、寄与分が認められるための要件と判断基準を解説しました。


「私の貢献は特別の寄与に当たるようだ!」と自信を持てた方もいるでしょう。しかし、次に皆さんを待っているのは、「寄与分として一体いくら認められるのか?」という、最も重要な金銭の評価という壁です。
寄与分は、裁判官の裁量に委ねられる部分も大きく、その計算方法は遺産分割調停・審判の場で大きな争点となります。
今回は、この寄与分の計算方法に焦点を当て、類型別の算定方法や、寄与分を大きく認めてもらうためのポイント、注意点を徹底解説します。
相続財産の適正な分け前を勝ち取るためにも、ぜひ最後までお読みください。
寄与分の計算方法の基本

寄与分とは「貢献の金銭的評価額」
寄与分の計算とは、相続人が行った特別な貢献が、被相続人の財産を維持または増加させた効果を、金銭に換算することです。
遺産分割における寄与分の基本的な計算式は以下の通りです。
寄与分の基本式
{寄与分} ={貢献の金銭的評価額}×{裁量的な調整率(寄与の割合)}
貢献の金銭的評価額を参考にしつつ、他の相続人との公平も考慮して裁量で寄与分を決定します。
この貢献の金銭的評価額をどのように算出するかが、類型ごとに異なります。裁判所は、最終的にこの評価額を参考にしつつ、他の相続人との公平も考慮して裁量で寄与分を決定します。
類型別の寄与分の計算方法(貢献の金銭的評価額の算出)
1. 療養看護型(介護の貢献)

療養看護型の寄与分は、本来支出されるべきであった介護費用が、相続人の療養看護によって節約された額として評価されます。
計算式
{貢献の評価額} = ({専門業者に支払うべき費用} – {実際に支出された費用})×{看護期間}×{裁量的割合}
本来かかるはずだった費用と実際の支出との差額を基礎として評価します。
専門業者に支払うべき費用:要介護度や介護内容に基づき、専門業者(ヘルパー、訪問看護など)に依頼した場合の市場価格を参考に算定します。
注意点:家族に通常期待される義務として行われたとみなされる部分は控除(差し引かれる)されます。また、介護者が自身の仕事を辞めた場合の逸失利益(失った収入)は、原則として寄与分とは別問題とされます。
2. 家事従事型(事業への貢献)

会社経営者や不動産オーナーの相続で問題となる家事従事型では、相続人が無償または低額な報酬で提供した労働の対価として、本来受け取るべきであった報酬額が評価されます。
計算式
{貢献の評価額} = ({適切な報酬額} – {実際に受け取った報酬額})×(1-{生活費控除率})×{従事期間}×{事業への貢献割合}
本来得られる報酬との差額を基礎に、生活費控除率や事業への貢献割合を加味して評価します。
適切な報酬額:その労働の内容、期間、事業規模から見て、第三者を雇用した場合に支払われるべき賃金相当額(相場)を算定します。
事業への貢献割合:相続人の労働が遺産(会社の利益や不動産収入)の増加にどれだけ貢献したかを評価します。
3. 財産給付型・扶養型(金銭の貢献)

金銭の提供による寄与分は、その金銭の額が評価の基礎となります。
計算式
{貢献の評価額} ={提供した金銭の総額}×{貨幣価値変動率}×{裁量的割合}
提供した金銭の総額を基礎に、貨幣価値変動率と裁量的割合を掛け合わせて評価します。
注意点:この金銭が単なる贈与(プレゼント)や扶養義務の範囲内とみなされないよう、「特別の寄与」であったことを証明しなければなりません。
寄与分を大きく認めてもらうためのポイント
寄与分の評価額は、弁護士の立証活動によって大きく変わります。
1. 客観的で明確な証拠の収集
裁判所は、感情論ではなく客観的な証拠に基づいて判断します。
| 類型 | 寄与分を大きく認めてもらうために必要な証拠 |
|---|---|
| 療養看護型 | 介護保険の要介護認定資料、介護日記、医療費・オムツ代などの領収書、介護施設の見積書(本来かかるはずだった費用の証明) |
| 家事従事型 | 会社の会計帳簿、確定申告書、労働時間の記録、事業の売上や利益の推移 |
| 財産給付型 | 金銭の振込履歴や借用書、使途を示す領収書や契約書 |
特に、不動産オーナーや会社経営者の相続で寄与分が問題となる場合は、相続財産調査の一環として、これらの専門的な資料の収集・整理が重要となります。
2. 専門的な「金銭評価」の主張
「適切な報酬額」や「市場価格」の算定には、統計資料や専門知識が必要です。弁護士は、過去の裁判例や賃金センサスなどの公的資料を根拠に、説得力のある金銭評価を行います。
寄与分を適切に証明できなければ、あなたの主張は退けられ、遺産分割で不利になってしまうリスクがあります。
注意点・落とし穴:寄与分は法定相続分を超えられない?

よくある勘違いとして、「大きな寄与分が認められれば、遺産の全てをもらえる」と考える方がいますが、これは間違いです。
寄与分は、最終的に相続財産の公平な遺産分割のために使われますが、他の相続人の遺留分(最低限保証された取り分)を侵害することはできません。また、あまりにも高額な寄与分が認められると、他の相続人が遺留分侵害額請求をしてくる可能性があり、相続トラブルが長期化するリスクがあります。
弁護士は、寄与分の主張と同時に、遺留分や特別受益といった他の相続問題も考慮に入れながら、全体のバランスを取った遺産分割の解決案を提示します。
遺産相続で弁護士に依頼するメリット:公平な評価を実現

寄与分の主張は、遺産相続の中でも特に専門性が高い分野です。
あなたの貢献を感情論で終わらせず、法的に適正な金銭に換算するためには、弁護士の存在が不可欠です。
1. 立証のプロ:複雑な寄与分の計算方法に基づき、必要な証拠を収集し、裁判所を説得する論理構成を組み立てます。
2. 交渉力の向上:他の相続人との遺産分割調停において、弁護士が窓口となり、あなたの貢献を正確に伝えて交渉を有利に進めます。
資産家、医師、会社経営者、不動産オーナーの相続では、相続財産が複雑かつ高額なため、寄与分の計算一つとっても大きな差が出ます。
引用・出典: • 民法(法令検索)、e-Gov法令検索、https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
まずはあなたの貢献を正当に評価するために気軽にお問い合わせください
寄与分シリーズ、全3回お読みいただきありがとうございました。
ご自身の貢献が特別の寄与に当たるか、また、それがいくらになるか、不安に感じている方もいるでしょう。
遺産相続のトラブルは、放置するほど相続人間の対立が深まり、解決が難しくなります。相続人調査、相続財産調査から遺言、特別受益、空き家の問題まで、蒼生法律事務所の弁護士 平野潤が、あなたの相続手続を全てサポートします。
あなたの貢献に見合った正当な遺産分割を実現するために、まずは一度、蒼生法律事務所へお問い合わせ(電話:0668093033 メール: souseilaw33799@gmail.com)ください。
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2004年の弁護士登録以降、個人・法人問わず幅広い事件を担当し、クライアントにとっての重大事には誠実かつ丁寧に寄り添う。命運に配慮し、最善策を模索。豊富な実績と十分なコミュニケーションで、敷居の高さを感じさせない弁護士像を追求してきた。1978年大阪府出身、京都大学法学部卒業。2011年に独立。不動産・労務・商事・民事・破産・家事など多様な分野を扱い、2024年6月に蒼生法律事務所へ合流。相続・遺言


