金融資産(株式、投資信託、暗号資産など)を多く持つ方の相続では、相続税対策・トラブル防止策が重要となります。
1. 相続税対策
① 相続財産の評価
株式・投資信託は、被相続人の死亡日時点の残高・価値で評価され、相続税の課税対象になります。
高額になる可能性があるため、相続税対策が重要となります。
② 相続税対策の方法
税理士や保険会社とも連携して、相続税対策を講じることも有用です。
a生前贈与
非課税(年間110万円以下)の贈与だけでなく、税率を考慮しつつ贈与の額を検討します。
また、教育資金の一括贈与や結婚・子育て資金の一括贈与などの非課税制度を有効に活用することを検討します。
ただし、非課税制度には期限がありますので、注意が必要です。
b生命保険の活用
非課税枠(500万円 × 法定相続人)を活用します。
c養子縁組
法定相続人が増えると基礎控除額や生命保険の非課税枠が増えることから、養子縁組の活用を検討します。
d不動産・事業投資
金融資産を不動産や事業に代えることで、相続財産としての評価額を下げることを検討します。
2. 相続トラブル防止策
① 遺言書の作成
金融資産は分割しやすいと思われがちですが、株式や投資信託などは価格変動があるため、相続時に誰に何を相続するのか、トラブルになるケースがあります。
そのため、遺言書によって、誰に何を相続させるか、明確に記載しておくことが重要です。
② 信託の活用
認知症になった場合、預金口座や証券口座が凍結されてしまい、活用できなくなるケースがあります。
そのため、家族信託制度によって、家族に管理・運用を信託することにより、相続トラブルを避けることができます。
③ 相続税納税資金の準備
相続税の申告・納付期限は、相続発生から10か月とされています。
多くの金融資産がある場合、現金化に時間がかかることもあるため、期限内に相続税を納付できるよう、株式や投資信託の一部を現金化しておくなどの工夫を検討します。
3. 海外資産などの対応
海外口座・海外株などの海外資産や暗号資産なども、相続の対象となります。
相続税の課税対象にもなりますので、相続発生から10か月以内に相続税の申告・納付を行うことができるよう、海外資産や暗号資産の調査が必要となります。
海外資産については、国ごとに相続の手続やルールが異なるため、丁寧に手順を踏んで確認・解約を進める必要があります。
暗号資産については、取引所によって対応が異なるため、取引所ごとの手続やルールを確認する必要があります。
亡くなった際に海外資産や暗号資産の存在を相続人が把握できるよう、生前に情報を整理・記録しておくことが重要となります。