相続問題というと、「資産家だけの話」「まだ先の話」と考える方が少なくありません。しかし、実際に遺産分割調停や遺留分侵害額請求で争いになるご家庭の多くは、ごく普通のご家庭です。預貯金と自宅しかないケースでも、兄弟姉妹が絶縁状態になることがあります。
相続トラブルの原因は財産の額ではありません。多くの場合、情報共有不足とコミュニケーション不足です。そこで本記事では、お盆の家族会議で話しておきたいテーマを具体例とともに分かりやすく解説します。
【すでにお困りの方へ】
この記事では事前対策を中心に解説していますが、「すでに他の親族から遺産分割調停を申し立てられた」「突然、遺留分侵害額請求の通知が届いて困惑している」という方もご安心ください。
当事務所では、すでに発生してしまった相続トラブルの解決にも迅速に対応しております。
お急ぎの方は、ページ下部の相談窓口から直接お問い合わせください。
【なぜ相続で揉めるのか】
相続相談でよく聞く言葉があります。
それは「まさかうちの家族が揉めるとは思わなかった」という言葉です。
生前は仲が良かった兄弟姉妹でも、相続が始まると立場が変わります。
それぞれの立場で「自分こそが大変だった」という思いがあります。
その感情がぶつかることで争いが発生します。
【テーマ1 親の今とこれからを護る: 成年後見・財産管理・空き家対策】
高齢化が進む日本では認知症対策が大きな課題です。
認知症になると銀行口座の解約や不動産売却が難しくなる場合があります。
【ケース1】親の認知症で賃貸マンションが売却不能に?経営凍結を防ぐ「家族信託・任意後見」
賃貸マンションを経営していた父親は、年齢を重ねても元気に見えました。
しかしお盆に帰省した長男は、父親が同じ話を何度も繰り返していることに気付きます。家賃の入金管理も曖昧になっていました。
その後認知症と診断され、介護施設への入居資金を確保するためマンション売却を検討しましたが、本人の判断能力が問題となり手続が進まなくなりました。
【ケース2】実家で見つけた高額なパンフレット……高齢の親を狙う悪質商法・詐欺被害から財産を守るには
母親が電話勧誘で高額な健康食品を購入していました。さらに投資話にも応じようとしていました。
娘が帰省して発見したため大事には至りませんでしたが、家族は大きな不安を感じました。
【対策:元気なうちに「護り」を固める】
このような場合に検討したいのが成年後見制度です。特に任意後見契約は、元気なうちに信頼できる人を選べる制度です。
また、近年では不動産オーナー様を中心に、より柔軟な財産管理・運用が可能な『家族信託』を活用するケースも増えています。
【あわせて話したい「実家の空き家・財産調査」】
「親が施設に入った後、実家が空き家になって放置される」というトラブルも急増しています。
将来の実家の処分方法について話し合うと同時に、預金口座、不動産(実家や小土地)、株式、保険などを一覧にする「相続財産調査」を生前に行っておくだけで、将来の負担は劇的に軽減されます。
【テーマ2 財産と事業の未来を繋ぐ: 遺言・事業承継・遺留分】
会社経営者、医師、不動産オーナーの方は、一般の家庭以上に事前の「出口戦略」が必要です。対策を怠ると、事業の存続すら危うくなります。
【ケース3】遺言書なしで町工場が機能不全に。経営権を揺るがす「自社株の分散トラブル」
町工場を経営していた父親は長男を後継者に決めていました。しかし遺言書を作らないまま亡くなりました。
相続開始後、自社株は兄弟姉妹で共有となり、経営判断のたびに揉めるようになりました。
【ケース4】クリニックの承継で兄弟が対立!医師の相続を泥沼化させる「医療法人の出資持分」
開業医だった父親は長男に医院を継いでほしいと考えていました。家族もそのつもりでした。しかし遺言書がありませんでした。
相続開始後、他の兄弟から『医院の価値も遺産ではないか』という意見が出て紛争になりました。
【ケース5】「長男に全財産を譲る」という遺言書が裏目に?次男・長女からの「遺留分侵害額請求」
賃貸マンションを複数所有していた父親は、不動産管理をしていた長男へ全財産を相続させる遺言を作りました。しかし次男と長女から遺留分侵害額請求が行われました。
長男は支払い資金を確保するため借入れをしなければならず、大きな負担となりました。
【対策:遺言書の作成と「遺留分」を意識した資金準備】
こうした問題を防ぐために必要なのが「遺言書」です。遺言書は単なる財産分配の指示書ではありません。家族への最後のメッセージでもあります。
特に医師や経営者の相続では、個人財産だけでなく「医療法人の出資持分」や「自社株」の適正な評価・承継が絡むため、専門的なアプローチが必要です。
また、遺言を書くだけでなく、残された家族が遺留分を請求されたときのために、「生命保険」や「生前贈与」を組み合わせた遺留分対策(納税・弁済資金の確保)まで設計しておくことが重要です。
【テーマ3 「争族」を未然に防ぐ: 遺産分割・寄与分・特別受益】
遺産分割協議は「相続人全員の合意」が必要です。たった一人でも反対すると進みません。
【ケース6】10年間親を介護した長女の涙。「法定相続分で半分ずつ」を主張する兄との「寄与分」の争い
長女は10年以上母親を介護していました。通院付き添い、買い物、施設探しなどを一手に引き受けていました。
しかし相続開始後、遠方に住む兄は法定相続分どおりを主張しました。長女は『私の苦労は何だったのか』と深く傷付きました。
このような問題では寄与分が争点になります。
【ケース7】昔もらった1500万円の住宅援助が引き金に。通帳から発覚した「特別受益」を巡る泥沼の話し合い
長男は住宅購入資金として1500万円の援助を受けていました。しかし家族には共有されていませんでした。
相続後に通帳から発覚し、妹が『それは特別受益ではないのか』と主張。兄弟関係は悪化しました。
【ケース8】「うちは普通の家庭だから相続税とは無縁」と思っていませんか?
「相続税は大富豪だけが払うもの」と思われがちですが、平成27年の税制改正以降、基礎控除額が大幅に引き下げられました。
大阪市内や北摂エリアなど、地価が上昇している地域に「自宅不動産」を持っている場合、預貯金が少なくても、合計評価額が基礎控除を超えて相続税の課税対象になるケースが急増しています。
※「うちは普通だから」と油断して1,000万円の相続税が発生してしまった具体的な失敗事例は、【テーマ5】で詳しくご紹介します。
【対策:不動産の「正しい評価」と生前試算】
現金1億円は額面通り1億円として評価されますが、賃貸不動産(アパートやマンション)は一定の条件下で評価額を下げられる場合があります(小規模宅地等の特例など)。
不動産オーナー様や資産家の方は、「今、自分たちの財産全体の評価額はいくらなのか」「将来の納税資金は足りるのか」を、生前のうちから弁護士や税理士などの専門家に試算してもらうことが、最大の防衛策になります。
【テーマ4 緊急性の高い手続き:相続放棄と相続人調査】
相続は、必ずしもプラスの財産だけとは限りません。また、「見知らぬ相続人」の存在が後から発覚することもあります。
【ケース9】親の死後に発覚した多額の借金。期限は3ヶ月!破産を免れるための「迅速な相続放棄」
父親が事業を営んでいたため、家族は財産があると思っていました。しかし相続財産調査を行うと多額の借入金が発覚しました。
早期に専門家へ相談し相続放棄を行ったことで不利益を回避できました。
【ケース10】遺産分割の途中で判明した「前妻・前夫との間の子」。戸籍収集(相続人調査)の重要性
遺産分割協議を始めた後、父親に前婚の子どもがいることが判明しました。その方も相続人であるため、協議は振り出しに戻りました。
相続人調査は戸籍を丁寧に収集して行う必要があります。
【重要】相続放棄の期限は「3ヶ月」
相続放棄には、『自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内』という法的な期限があります。
財産調査が遅れると期限を過ぎてしまい、借金を背負わざるを得なくなるリスクがあるため、一刻も早い専門家への相談が推奨されます。
【資産家・経営者・医師など資産家の方が気を付けるべきこと】
資産が大きいほど、相続税や事業承継、遺留分への配慮が必要になります。
- ・不動産の評価額を把握する
- ・自社株評価を確認する
- ・生命保険を活用する
- ・遺言書を作成する
- ・家族へ方針を説明する
これらを行うだけでも将来の紛争リスクを大幅に減らせます。
【テーマ5 相続税で失敗しないために:いまからできる対策】
【ケース11】「うちは普通の家庭」の油断が招いた、突然の相続税1,000万円請求トラブル
大阪府内に自宅と賃貸アパートを所有していたAさん。子どもたちは、「うちは普通の家庭だから相続税なんて関係ない」と思っていました。
しかし相続発生後に税理士へ相談したところ、自宅土地・アパート敷地・建物・預貯金・生命保険を合計した評価額が予想以上に高く、約1000万円の相続税が発生することが判明しました。
家族は納税資金を全く準備しておらず、急遽、預金のかき集め、不動産売却の検討、親族への借入相談、を行うことになりました。
相続税は「現金がいくらあるか」ではなく、「財産全体の評価額」で決まります。そのため、生前の相続税試算は非常に重要です。
【ケース12】特例や評価減をフル活用!アパート経営者が生前対策で相続税負担を大幅に軽減した成功例
大阪市内で複数の賃貸アパートを所有していたBさん。将来の相続税が心配になり専門家へ相談しました。
その結果、賃貸物件としての評価減、小規模宅地等の特例、不動産評価の見直しなどを活用できることが判明しました。結果として、当初予想していた税額より大幅に負担を軽減することができました。
1億円の現金は評価額も1億円ですが、賃貸不動産は一定の条件下で評価を下げられる場合があります。不動産オーナーの方は、早めに税理士・弁護士へ相談することが重要です。
【ケース13】現金が足りない!相続税の納税資金不足で、大切な賃貸マンションを手放した失敗例
父親から賃貸マンションを相続した長男。遺産のほとんどが不動産であり、現金はほとんどありませんでした。
その後、相続税申告により高額な納税義務が発生しました。しかし納税資金が不足していたため、やむなく家賃収入を生み出していた収益物件を売却することになりました。
長年家族で守ってきた資産を手放しただけでなく、将来得られるはずだった家賃収入も失う結果となりました。
相続税は原則として現金納付です。そのため、医師、不動産オーナー、会社経営者などの資産家の方は、「相続税がいくらになるか」だけではなく、「納税資金をどう確保するか」まで考えておく必要があります。
【お盆の家族会議チェックリスト】

- □ 遺言書はあるか
- □ 財産一覧を作っているか
- □ 銀行口座を把握しているか
- □ 不動産の資料が整理されているか
- □ 保険契約を把握しているか
- □ 認知症対策をしているか
- □ 家業の後継者を決めているか
- □ 空き家になる不動産はないか
- □ 家族全員が方針を共有しているか
【弁護士へ相談するメリット】
相続問題は法律だけの問題ではありません。
相続人同士の感情や人間関係も大きく影響します。
弁護士へ依頼することで、
- ✅ 戸籍収集による相続人調査
- ✅ 預金・不動産等の相続財産調査
- ✅ 相続放棄手続
- ✅ 遺産分割協議書作成
- ✅ 遺産分割調停対応
- ✅ 遺留分侵害額請求対応
- ✅ 遺言書作成
- ✅ 成年後見申立て
- ✅ 空き家問題対応
- ✅ 事業承継対策
まで一括して相談できます。
また、弁護士が窓口になることで、相続人同士が直接やり取りをする必要がなくなり、精神的負担を大幅に軽減できます。
【蒼生法律事務所が選ばれる理由】
① 相続問題をワンストップで対応
成年後見から相続発生後の遺産分割、
さらには遺留分請求や相続放棄まで、
相続に関する手続をまとめてご相談いただけます。
② 財産調査に強い
戸籍収集による相続人調査だけでなく、
預金、株式、不動産などの財産調査にも対応しています。
③ 調停・訴訟対応が可能
すでに揉めているケースや、
遺産分割調停を申し立てられたケースにも対応しております。
④ 経営者・医師・不動産オーナーの相続にも対応
事業承継、自社株対策、
賃貸不動産承継など複雑な案件にも対応可能です。
⑤ 初回無料相談
まずは現状を整理し、
何をすべきかを分かりやすくご案内します。
初回無料相談実施中。あなたの資産の健康診断をしてみませんか。
出典・参考資料
- 後見ポータルサイト(裁判所)
- 成年後見制度~成年後見登記制度~(法務省)
成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A | 成年後見制度・成年後見登記制度
- 民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)(法務省)
法務省: 民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正) - 法定相続情報証明制度(法務省)
「法定相続情報証明制度」について:法務局
- 相続人の範囲と法定相続分(国税庁)
No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁 - 相続税の申告と納税(国税庁)
No.4205 相続税の申告と納税|国税庁 - 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(国税庁)
No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
- 空家等対策の推進に関する特別措置法(国土交通省)
住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 - 国土交通省国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

2004年の弁護士登録以降、個人・法人問わず幅広い事件を担当し、クライアントにとっての重大事には誠実かつ丁寧に寄り添う。命運に配慮し、最善策を模索。豊富な実績と十分なコミュニケーションで、敷居の高さを感じさせない弁護士像を追求してきた。1978年大阪府出身、京都大学法学部卒業。2011年に独立。不動産・労務・商事・民事・破産・家事など多様な分野を扱い、2024年6月に蒼生法律事務所へ合流。相続・遺言



