遺留分侵害額請求とは?2019年改正後の金銭請求(原則現金払い)・期限・対応策を弁護士が解説

「遺言書を見たら、兄にすべての財産を譲ると書かれていた…」

「父の介護を一身に担ってきたのに、私の取り分が全くないなんて納得できない!」

「亡くなった夫の遺言で、愛人にほとんどの財産が渡ってしまい、今後の生活が不安…」

▶ まずは「期限」と「証拠化」だけは落とさないでください。遺留分侵害額請求は、知った時から1年という短期の期限があります。

※本記事は一般的な情報提供であり、個別事案は事実関係により結論が変わります。具体的対応は弁護士へご相談ください。

【冒頭チェックリスト】30秒で分かる:あなたはいま何をすべき?

当てはまる項目にチェック(☑)。1つでも該当したら、早めに専門家へ相談すると選択肢が広がります。

遺言書・生前贈与の内容が偏っていて「自分の取り分がほぼゼロ/極端に少ない」と感じる
侵害の可能性を知ってから「いつ頃か」説明できない(=1年のカウントが不安)
まず内容証明で意思表示をしたいが、書き方・宛先・記載事項が不安
相手が話し合いを拒否/連絡を遮断している
不動産・非上場株式が中心で、評価方法で揉めそう
(請求された側)現金一括が難しく、支払猶予・分割の交渉が必要
(請求された側)請求額が高すぎる気がする/財産評価に疑問がある
調停・訴訟に進む可能性があり、証拠・資料の整理が追いつかない

【結論の要点】

金銭請求が原則

遺留分侵害額請求は、原則「金銭(現金)」での請求

期限と証拠化が重要

期限は「知った時から1年」なので、まず意思表示の証拠化が最優先

双方にリスクがある

請求する側・された側のいずれも、対応を誤ると大きな不利益が生じやすい

この記事で分かること

1. 2019年改正のポイント

最重要ポイント:2019年改正で何が変わった?「現物返還」から「金銭請求」へ

2. 遺留分の基本

遺留分の基本(誰が請求できる?割合は?)

3. 請求する側の流れ

【請求する側】具体的アクション(協議→内容証明→調停→訴訟)

4. 請求された側の対応

【請求された側】突然の請求への対応(時効・金額・支払猶予)

5. 失敗と落とし穴

よくある失敗と落とし穴(請求側/請求された側)

6. よくある質問

【FAQ】よくある質問

7. 相談案内

弁護士に依頼するメリット/当事務所の相談案内

1. 【最重要ポイント】法改正で何が変わった?「モノで返す」から「お金で返す」へ

2019年7月1日の民法改正で、遺留分を侵害されたときの返還方法が大きく変わりました。

1-1. 旧制度:遺留分減殺請求(現物返還)

不動産共有の問題

不動産が共有になり、売却・賃貸・管理で「新たな紛争の火種」になりやすい

事業承継の問題

事業承継で株式が分散し、経営の安定を損なうことがある

1-2. 新制度:遺留分侵害額請求(金銭請求)

改正後は、侵害された遺留分を「金銭」で支払ってもらう権利(遺留分侵害額請求)が中心です。

▶ 共有化を避けて解決しやすくなった一方、「現金をどう用意するか」「期限をどうするか」が実務の争点になりやすい点がポイントです。

2. 遺留分とは?(対象者・割合の基本)

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人(配偶者、子、直系尊属など)に法律上最低限保障された取り分です。

【遺留分の割合(遺産全体に対する総体的遺留分)】

配偶者+子/子のみ/配偶者のみ

1/2

直系尊属のみ(親など)

1/3

兄弟姉妹

なし(遺留分なし)

3. 【請求する側】遺留分を取り戻すためのアクション(実務の流れ)

ステップ1:まずは冷静に協議(話し合い)

いきなり法的手続に進む前に、まずは相手方と話し合いの場を持つことが基本です。

▶ ただし期限が迫る/相手が拒否しそうなら「協議と並行して」内容証明準備を進めます。

ステップ2:【最重要】内容証明郵便で「請求の意思表示」を証拠化

遺留分侵害額請求には「知った時から1年」という短い期間制限があります(民法1048条)。

内容証明郵便は、いつ・誰が・誰に・何を通知したかを証明し、「言った言わない」を防ぎます。

▶ 【重要】家庭裁判所に調停を申し立てただけでは、相手方への意思表示にならない点に注意してください(裁判所の案内でも明記)。

ステップ3:家庭裁判所で調停

話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所での調停手続を利用します。

ステップ4:調停不成立なら訴訟

調停で合意できなければ、最終的には訴訟で侵害額を確定します。

【内容証明に最低限入れる項目(例)】

通知書/通知人・被通知人の氏名住所/通知日
件名:遺留分侵害額請求通知書
被相続人・死亡日・対象となる遺言/贈与の特定
民法に基づき遺留分侵害額請求を行う意思表示
(可能なら)請求概算額、協議の申入れ、回答期限

4. 【請求された側】突然の請求…どう対応する?

4-1. 無視はNG/まずは時効(1年・10年)を確認

請求を無視すると、調停・訴訟へ進む可能性が高まります。

消滅時効

相手が「相続開始と侵害を知った時から1年以内」に意思表示したか

期間制限

相続開始から10年が経過していないか

▶ 安易に「払います」と認める発言は、時効主張に影響することがあるため慎重に。

4-2. 請求額は正しい?(遺産評価・算定基礎の検証)

不動産・非上場株式の評価は方法で大きく変わるため、相手提示額を鵜呑みにしないことが重要です。

4-3. 【重要】支払いが難しい場合:支払猶予(期限の許与)

改正により、裁判所が支払期限を延ばす「相当の期限の許与」を認める制度が新設されました(民法1047条5項)。

▶ 交渉段階では「分割・期限・担保(期限の利益喪失条項)」の設計が実務上の鍵になります。

5. 遺留分トラブルの「よくある失敗」と「落とし穴」

5-1. 請求する側の失敗例

感情的対立で時間を浪費し、1年の期限を徒過
口頭だけで請求して証拠が残らず「言った言わない」
財産評価を安易に行い、低額で合意してしまう

5-2. 請求された側の失敗例

内容証明を無視して手続が進み、いきなり訴訟へ
相手の評価を鵜呑みにして過大に支払う
支払猶予制度を知らず、資産を慌てて安値で換価

【FAQ】遺留分侵害額請求でよくある質問

Q1. 「調停を申し立てた」だけで時効(1年)は止まりますか?

A. 原則として止まりません。相手方への「意思表示」が必要で、調停申立てとは別に内容証明等で通知しておく必要があります。

Q2. 期限はいつまで?

A. 「相続の開始と、侵害する贈与・遺贈があったことを知った時」から1年、相続開始から10年です(民法1048条)。

Q3. 「現物(不動産の持分)で払え」と言われたら?

A. 改正後は原則金銭請求です。もっとも当事者の合意があれば代物弁済(現物での精算)をすることはあり得ますが、税務面の検討が必要です。

Q4. 請求された側ですが、現金がありません。どうすれば?

A. 交渉で分割・期限を調整し、折り合わなければ裁判所に支払期限の許与(民法1047条5項)を求める余地があります。

Q5. 相手の請求額が高い気がします。争えますか?

A. 争点は「算定基礎(財産の範囲)」「評価(不動産・株式)」「特別受益・債務」などです。資料を集め、根拠と計算過程を開示させた上で検討します。

6. 弁護士に依頼するメリット/当事務所でできること

期限管理と証拠化

期限管理(1年・10年)と意思表示の証拠化(内容証明)の設計

遺産調査と評価

遺産調査(預貯金・不動産・株式・保険・贈与歴)と適正評価の手配

一貫対応

交渉・調停・訴訟まで一貫対応(相手方との直接対応を減らす)

支払方法の設計

支払方法(分割・担保・期限の利益喪失)や支払猶予の主張整理

※遺留分侵害額請求は、「動き出すタイミング」を誤ると、たとえ権利があっても実質的に回収できなくなるケースがあります。

【相談導線(例)】

初回相談

遺言・贈与の内容、相続人関係、期限(いつ知ったか)を確認

次にやること

内容証明の起案/財産資料のリストアップ/評価の方針決定

交渉方針

一括・分割、担保、合意書の条項設計

蒼生法律事務所( https://sousei-law.jp/ )では、大阪・関西エリアを中心に、遺留分侵害額請求を含む相続案件を数多く取り扱っています。

※ 大阪・関西エリアで、遺留分侵害額請求についてお困りの方(請求したい方、請求を受けた方)は、地域事情に精通した弁護士に相談することが重要です。

初回のご相談にあたっては、

・資料が揃っていなくても

・何を聞けばよいか分からなくても

問題ありません。

「何から手をつければいいか分からない」という段階でも問題ありません。

・状況整理が中心でも大丈夫です。

・その場で結論を出す必要はありません。

「今の状態を確認するだけ」のご相談でも問題ありません。

必ずしもご依頼いただく必要はありません。

初回相談では、代表弁護士・平野 潤が直接お話を伺います。

※ご相談内容は厳重に管理し、外部に漏れることはありませんので、ご安心ください。

【お問い合わせ先】

事務所名
蒼生法律事務所(代表弁護士 平野 潤)
住所
大阪市北区西天満4丁目1番20号 リープラザ301
お電話
06-6809-3033
メール
souseilaw33799@gmail.com
公式サイト
https://sousei-law.jp/

いつでもお気軽にお電話・メールなどでご連絡ください。お待ちしております。

参考(公的情報)

遺留分制度に関する見直しなど(法務省)

https://www.moj.go.jp/content/001285382.pdf

遺留分侵害額の請求調停(裁判所)

遺留分侵害額の請求調停