「大切な家族を亡くしたあと、悲しみに暮れる間もなく押し寄せる膨大な銀行手続き……。
窓口を何軒も回る負担に、心をすり減らしている方は少なくありません。」
2026年4月、そんな負担を劇的に減らす「相続手続の一括対応」という画期的なニュースが飛び込んできました。
引用:日本経済新聞 相続手続き、銀行・証券大手7社が一括対応 隠れ口座も照会可能に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB015BU0R00C26A4000000/
金融機関による「相続手続の一括対応」が始まろうとしています。
これは、銀行・証券会社など複数の金融機関にまたがる相続手続きを、まとめて行える新しい仕組みです。
一見すると「相続が楽になる画期的な制度」に見えますが、 実は相続トラブルや紛争を防げるわけではありません。
「手続きが楽になること」と「円満に解決すること」は全くの別物です。
この記事では、大阪で多くの相続案件を解決してきた弁護士が、新制度のメリットと、それでも残る「法律トラブルのリスク」について、初心者の方にもわかりやすく解説します。
1.相続一括対応とは?金融機関がまとめて行う新しい相続手続

これまで、相続が発生すると、
- A銀行の預金解約
- B証券会社の株式名義変更
- C信託銀行の手続
といった具合に、金融機関ごとに別々の手続が必要でした。
✅ 新制度でここが変わる!
現時点では、2027年夏に一部地域で試験導入され、2028年秋に全国的なサービス提供が予定されています。
従来
金融機関ごとに何度も提出
通帳などを自分で探す
窓口で長時間の順番待ち
新制度
1回のウェブ提出で完了
一括照会が可能に
オンラインで完結
参加予定の金融機関は、SMBC日興証券を中心に、 三井住友・三菱UFJ系の銀行・信託・証券など 大手7社 に及びます。
「金融機関の手続だけなら、相続はずいぶん楽になりそう」
そう感じた方も多いでしょう。
2.相続手続が楽になる“3つのメリット”

(1)何度も書類を集めなくていい
相続では必ず必要になる 戸籍謄本・印鑑証明書。 従来は、金融機関の数だけ用意する必要がありました。
一括対応では、
✅ 1セットのウェブ提出で複数機関に対応
事務的な負担は確実に軽減されます。
(2)「隠れ口座」の発見につながる
実務で非常に多いのが、
- 使っていない地方支店の口座
- 昔作ったまま忘れていた証券口座
といった “相続漏れ” です。
新制度では、一定範囲で 口座の一括照会 が可能になるため、 隠れ口座の発見につながる可能性があるなど、 相続財産調査の第一歩として大きな助けになります。
(3)手間・時間の短縮
銀行・証券会社ごとに窓口で手続きが必要であり、 何時間も待たされることも少なくありませんでした。
新制度では、オンラインでの手続が可能になるため、 待ち時間も無くなり、忙しい人や遠方に住む人にはメリットです。
3.それでも「法律の問題」は別に存在します

「銀行の手続きが終われば、相続はすべて終わり」……そう思っていませんか?
実は、一括対応サービスはあくまで金融機関での「事務の代行」です。
👉 金融機関の手続が終わっても、相続問題が解決するとは限りません。
相続に必ず出てくる重要用語を、やさしく解説します
■ 相続人調査
「誰が相続人か」を確定する作業です。 戸籍を出生までさかのぼり、隠れた相続人 がいないかを確認します。
実は、認知された子や前妻の子が後から判明するケースも少なくありません。
■ 相続財産調査
預金や不動産だけでなく、
✅ 借金・保証債務も含めて調べる必要があります。
ここを誤ると、相続放棄すべきだったのに財産を処分してしまう という取り返しのつかない事態にもなります。
■ 遺産分割協議
相続人全員で 「誰が何を相続するのか」 を話し合う手続です。
⚠ 1人でも欠けると無効
⚠ 全員の合意が必要
これが、相続トラブルの最大の原因です。
4.遺留分・特別受益・寄与分…なぜ揉めるのか?
■ 遺留分とは?
配偶者や子に法律で保障された 最低限の取り分 です。
たとえ 「全財産を長男に相続させる」 という遺言があっても、他の相続人は 遺留分侵害額請求 をすることができます。

■ 特別受益・寄与分とは?
公平を保つための調整ルールです。
感情が絡みやすく、調停や訴訟に発展しやすい分野 でもあります。
5.【予想される実例】手続はスムーズ、でも相続は紛争に…
父親を亡くしたAさんのケース
金融機関の一括対応で、預金の解約はスムーズに完了。
しかしその後、家族の知らない
👉 認知された子から遺留分侵害額請求
結果として、
✅ 調停 → 裁判
✅ 多額の解決金と精神的負担
という事態になりました。
教訓
「事務手続」と「権利調整」はまったく別物です。
6.放置すると危険な相続リスク
■ 空き家問題
相続登記をしないまま放置すると、
- 売却できない
- 管理責任だけ残る
- 行政指導や特定空家指定
といった問題につながります。

■ 成年後見が必要なケース
相続人に認知症の方がいる場合、
👉 成年後見人の選任が必須
手続きを誤ると、遺産分割が無効になることもあります。

■ 相続税の期限
相続税の申告期限は 相続開始を知った日の翌日から10か月以内
期限を過ぎると、
✅ 特例が使えない
✅ 延滞税・加算税
という重大な不利益があります。
7.まとめ|相続の第一歩は「資産の健康診断」から

新制度により、相続の「手間」は確かに減ります。
しかし、
• 相続人調査
• 遺産分割
• 遺留分
• 相続放棄
• 相続税対策
といった 相続の本質的な問題は依然として残されたまま です。
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公式ホームページ
出典・参考サイト(公的機関)
• 相続に関するルールが大きく変わります(法務省)、
https://www.moj.go.jp/content/001318284.pdf
• 相続税のあらまし(国税庁)、
souzoku-aramashih30
• 成年後見制度(法務省)、
https://www.moj.go.jp/MINJI/pdf/pamphlet.pdf
• 遺産分割調停の手続き(裁判所)、
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_12/index.html
• 相続の放棄の申述(裁判所)、
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
• 遺留分制度の見直し(法務省)、
https://www.moj.go.jp/content/001263488.pdf

2004年の弁護士登録以降、個人・法人問わず幅広い事件を担当し、クライアントにとっての重大事には誠実かつ丁寧に寄り添う。命運に配慮し、最善策を模索。豊富な実績と十分なコミュニケーションで、敷居の高さを感じさせない弁護士像を追求してきた。1978年大阪府出身、京都大学法学部卒業。2011年に独立。不動産・労務・商事・民事・破産・家事など多様な分野を扱い、2024年6月に蒼生法律事務所へ合流。相続・遺言



