相続問題は、思いがけないタイミングで突然、あなたのもとにやってくることがあります。
例えば、他の相続人から家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てられたり、被相続人の債務について債権者から請求書が届いたりすることも珍しくありません。
こうした場面では、対応を誤ると、不要なトラブルに巻き込まれたり、知らない間に不利益を被ったりするリスクがあります。
本記事では、「他の相続人から訴えられた場合」や「相続債権者から請求書が届いた場合」に、どのように冷静に対処すべきかをわかりやすく解説しています。
いざというときに慌てず、適切に行動するための参考にしてください。
対応に迷った場合は、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。
遺産分割調停を申立てられた
相続はもっと簡単に終わると思っていた──。
ところが突然、裁判所から遺産分割調停の呼出状が届き、戸惑い、慌ててしまう方も少なくありません。
「なぜ自分が呼び出されるのか」「どう対応すればいいのか」と不安になるのも無理はありません。
遺産分割にはすべての相続人の協力が必要なため、話し合いが進まないと、調停に発展することがあります。
この記事では、呼出状が届いたときに取るべき対応や、選べる選択肢についてわかりやすく解説します。
焦らず、正しい対応をとるために、ぜひ最後までご覧ください。
①裁判所からの調停期日への呼出
仕事などで忙しいなど、遺産分割についての親族間の協議に向き合うことが難しい場合もあります。
また、疎遠となっていた父母の相続や、叔父叔母や兄弟姉妹の相続では、関わり合いになりたくないという場合もあります。
けれども、遺産分割についての協議はすべての相続人が関与する必要があるため、一人でも相続人が関与してくれないと話がまとまりません。
そのため、他の相続人からの遺産分割についての申し入れを放置してしまっていると、他の相続人に遺産分割調停を申立てられ、家庭裁判所から呼出状が届くことになりかねません。
②裁判所からの呼出を無視すると
裁判所からの遺産分割調停への呼出を無視すると、調停期日が空転してしまい、他の相続人や裁判所(調停委員)に迷惑をかけることになります。
そうなると、他の相続人との関係が悪化し、相続についての紛争が複雑化、長期化してしまうおそれがあります。
また、調停に参加する意思がないと判断されると、調停は不成立となり、裁判官が判断する審判手続に移行することになります。
③裁判所からの呼出状への対応
では、どのように対応すればいいでしょうか。
1)自分で調停に参加する
ご自分で調停に参加して、希望や条件などを伝えたうえで、他の相続人と協議するという方法があります。
2)弁護士に依頼する
弁護士に依頼して、他の相続人と協議してもらうという方法があります。
弁護士費用の負担はありますが、法的な観点から、貴方の希望や条件を整理してくれ、証拠資料に基づいた主張をしてくれることが期待できます。
3)相続を放棄する
相続放棄をするという方法があります。
相続放棄をすると初めから相続人ではなかったことになりますので、遺産分割の手続から脱することが可能となります。
もっとも、相続放棄には期限などの要件がありますので、ご注意ください。
詳しくは、相続放棄の解説をご参照ください。
4)相続分を譲渡する
相続分を譲渡するという方法があります。
あなたの相続分を他の相続人などに譲渡することになります。
同族会社の株式など貴方にとっては不要でも、他の相続人にとっては非常に重要な相続財産である場合には、有償で引き取ってもらうことができるかもしれません。
まとめ
このように、裁判所から調停の呼出状が届いた場合には、無視しないで必ず内容を確認することにしましょう。
そのうえで、対応に迷ったり、他の相続人との協議に不安を覚えた場合には、是非当事務所にご相談ください。
相続債権者から請求書が届いた
「相続は簡単に終わるだろう」と思っていた矢先に、突然届いた見知らぬ債権者からの請求書──。
こんなとき、どう対応すればよいか分からず、不安に感じる方は少なくありません。
しかし、対応を間違えると、思わぬ不利益を被ったり、親族間のトラブルが深刻化してしまうおそれがあります。
少しでも不安を感じたら、早めに専門家に相談することが、問題をスムーズに、そして有利に解決するための第一歩です。
当事務所では、相続に関するご相談を初回無料で承っております。
呼び出し状や請求書が届いた方は、一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
債務の相続
被相続人(亡くなった人)の財産を相続する場合、被相続人名義の預貯金や不動産などのプラスの財産を引受けるだけでなく、借金などのマイナスの財産も引受けることになります。
疎遠となっていた父母の相続や、叔父叔母や兄弟姉妹の相続では、財産状況もよく分からないという場合も少なくありません。
相続債権者から請求書が届いた
被相続人が支払わなければならないものがあり、亡くなったために支払が停止していると、相続債権者(被相続人に債権を持っていた者)から請求書や督促状が届くことになります。
また、被相続人が賃借していた借地の賃貸人(地主)から賃料(地代)の請求書が届くといったケースもあります。
請求書や督促状を受け取り、慌てて一部でも支払ってしまうと、貴方は被相続人の債務まで相続したことになってしまい、後からやっぱり関わり合いになりたくない、という主張が認められない可能性が高いため、相続するかどうかを慎重に判断する必要があります。
相続債権者からの請求に対する対応
相続債権者から請求書や督促状が届いたとしても、相続できるプラスの財産の方が大きい場合には、そこから支払えば問題ない、ということにもなるでしょう。
他方、相続できるプラスの財産が小さかったり、何処に何があるかも分からないような場合には、相続しない(相続を放棄する)という選択をするべきかもしれません。
そのため、先ずは被相続人の財産を可能な限り調査・整理して、プラスの財産がどの程度あるのか、被相続人の債務を支払うのに足りるのか、を確認し、足りないようなら相続放棄をすることも検討した方がいいでしょう。
まとめ
このように相続債権者から請求書が届いた場合には、相続財産を調査したうえで、相続するか放棄するかを慎重に判断する必要があります。
相続財産が何処に何があるか分からないような場合や相続するか放棄するかの判断に迷った場合には、是非当事務所にご相談ください。