皆さん、こんにちは。 蒼生(そうせい)法律事務所の代表弁護士、平野潤です。
「うちの相続、誰が相続人になるんだろう?」 「亡くなった父に、実は知らない子どもがいたら…?」 「相続の手続きを始めたら、会ったこともない親戚が相続人だとわかってパニックに…」
遺産相続の問題は、多くの方にとって、人生で何度も経験することではありません。だからこそ、いざ直面すると、何から手をつけていいかわからず、不安な気持ちでいっぱいになってしまいますよね。特に「誰が相続人になるのか」を確定させる相続人調査は、すべての相続手続きの第一歩であり、ここでつまずくと後々大きなトラブルに発展しかねません。
この記事では、相続の専門家である弁護士が、「誰が相続人になるのか?」という相続人の範囲について、図解も交えながら、初心者の方にも分かりやすく解説します。少し複雑に感じる「代襲相続」や、意外な落とし穴までしっかりカバーしますので、ぜひ最後までお付き合いください。この記事を読み終える頃には、ご自身のケースにおける相続人の範囲を、きっと把握できるようになっているはずです。
【3分で確認】あなたの相続人、見落としていませんか?
次の項目に1つでも当てはまる場合、相続人調査をお勧めします。
- □ 相続人が配偶者と子だけだと思い込んでいる
- □ 亡くなった兄弟姉妹・子がいる
- □ 離婚・再婚・養子縁組がある
- □ 認知した(または認知された可能性がある)子がいる
- □ 戸籍を「出生から死亡まで」集めていない
- □ 会ったことのない親戚がいると聞いたことがある
✔ 1つでも該当する方は、相続人の見落としによるトラブルが起きやすい状況です。
そもそも「相続」とは?
まず、基本の「き」からおさらいしましょう。 相続とは、ある人(被相続人(ひそうぞくにん)といいます)が亡くなったときに、その人が持っていた財産(預貯金、不動産、株式など)や、借金などのマイナスの財産を、特定の人が引き継ぐことをいいます。
この「特定の引継ぐ人」のことを相続人(そうぞくにん)と呼びます。 重要なのは、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぐという点です。
相続人の範囲とは?【誰が相続人になるかを弁護士が解説】

法律(民法)では、誰が相続人になるか、その優先順位がはっきりと決められています。これを法定相続人(ほうていそうぞくにん)といいます。
配偶者(夫または妻):亡くなった方の配偶者は、後述する血族相続人と共に、常に相続人となります。
亡くなった方に子がいれば、その子が相続人です。
子がいない場合、父母が相続人になります。父母も既に亡くなっている場合は、祖父母が相続人となります。
子も直系尊属もいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。
配偶者以外の親族は、以下の順位で相続人になります。上位の順位の人が一人でもいる場合、下位の順位の人は相続人になれません。
相続人の順位と法定相続分【図解あり】
相続人:配偶者 と 子
法定相続分:配偶者 1/2、子 1/2(子が複数いる場合は1/2を均等に分けます)
相続人:配偶者 と 親(直系尊属)
法定相続分:配偶者 2/3、親 1/3(父母ともに健在なら1/3を均等に分けます)
相続人:配偶者 と 兄弟姉妹
法定相続分:配偶者 3/4、兄弟姉妹 1/4(兄弟姉妹が複数いる場合は1/4を均等に分けます)
| 相続人の組合せ | 配偶者 | 子(第一順位) | 親(第二順位) | 兄弟姉妹(第三順位) |
|---|---|---|---|---|
| 配偶者と子 | 1/2 | 1/2 | ||
| 配偶者と親 | 2/3 | 1/3 | ||
| 配偶者と兄弟姉妹 | 3/4 | 1/4 | ||
| 配偶者のみ | すべて | |||
| 子のみ | すべて | |||
| 親のみ | すべて | |||
| 兄弟姉妹のみ | すべて |

※同じ順位の相続人が複数いる場合(例:子が3人いる)、その順位の相続分を人数で均等に分けます。
※外国法が適用される相続においては、相続順位や相続分が異なる場合があります。
【ケース別】こんなとき、相続人は誰になる?
基本ルールがわかったところで、少し複雑なケースを見ていきましょう。これらは実務でもよくご相談いただく内容です。
養子は、法律上、実の子(実子)と全く同じ扱いを受けます。したがって、第1順位の相続人となります。
一方で、亡くなる前に離縁していた場合は、親子関係が解消されるため、相続権はなくなります。
婚姻関係にない男女の間に生まれた子でも、父親が「この子は自分の子です」と法的に認める手続き(認知)をしていれば、その子は実子として相続権を持ちます。
亡くなった後に、裁判で認知が認められるケースもあります。戸籍をしっかり調査しないと、後から「私も相続人です」という人が現れるリスクがあるのはこのためです。
長年連れ添い、夫婦同然の生活を送っていても、婚姻届を提出していない内縁関係や事実婚のパートナーには、法律上の相続権は一切ありません。財産を遺したい場合は、必ず遺言書を作成しておく必要があります。これは非常に重要なポイントなので、ぜひ覚えておいてください。
相続人から外れる場合:相続放棄・排除・欠格
家庭裁判所で手続きをすることで、相続権を放棄できます。相続放棄をした人は、初めから相続人ではなかったものとみなされます。借金が多い場合などに選択されます。
第1順位の子全員が相続放棄をすると、第2順位の親へと相続権が移っていきます。
相続欠格(そうぞくけっかく):被相続人を殺害したり、遺言書を偽造したりするなど、重大な不正行為をした相続人は、自動的に相続権を失います。
相続排除(そうぞくはいじょ):被相続人が、自分を虐待したり、重大な侮辱をしたりした相続人について、家庭裁判所に申し立てることで、意図的に相続権を奪う制度です。
「代襲相続」とは?相続人が変わる典型パターン
さて、ここが今回の記事で最も重要なポイントです。代襲相続(だいしゅうそうぞく)という言葉をご存知でしょうか?
代襲相続とは、本来相続人になるはずだった子や兄弟姉妹が、被相続人より先に、または、同時に亡くなった場合(または、相続欠格・相続排除に該当する場合)に、その子(被相続人から見ると孫や甥・姪)が代わりに相続する制度です。
代襲相続の条件と範囲
- 誰が代襲されるか?
- 被相続人の子(第1順位)
- 被相続人の兄弟姉妹(第3順位)
- ※第2順位の親(直系尊属)には代襲相続はありません。
- 誰が代襲するか?
- 先に亡くなった、または、同時に亡くなった相続人(または、相続欠格・相続排除に該当する場合)の子です。
- 例:被相続人の子が先に亡くなっていれば、その子、つまり被相続人の孫が代襲します。孫も亡くなっていれば、ひ孫となります(再代襲)。
- 例:被相続人の兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、その子、つまり被相続人の甥・姪が代襲します。ただし、甥・姪の子は再代襲できません。
図解でわかる!代襲相続
【ケース】父Aが亡くなったが、Aの子BはAより先に亡くなっている。Bには子C(Aの孫)がいる。
- 本来の相続人:子B(第一順位)
- しかしBは既に死亡しているため、Bの子Cが代わって相続人になる。
- 相続する割合(相続分)は、本来Bが受け取るはずだった分をそのまま引き継ぎます。
【ケース】弟Dが亡くなったが、Dには子がなく、父母も先に亡くなっている。Dには兄Eがいたが、Eも先に亡くなっている。Eには子F(Dの姪)がいる。
- 本来の相続人:兄E(第三順位)
- しかしEは既に死亡しているため、Eの子Fが代わって相続人になる。
| 代襲される人(被相続人よりも先または同時に亡くなった相続人) | 代襲相続人(代わりに相続する人) | 再代襲できるか(下の世代へ続くか) |
|---|---|---|
| 子 | 孫 | できる。ひ孫>玄孫…と続く |
| 兄弟姉妹 | 甥・姪 | できない。甥・姪の一代限り |
※同じ順位の代襲相続人が複数いる場合(例:孫が3人いる)、その順位の代襲相続分を人数で均等に分けます。
相続人調査では、この代襲相続を見落としてしまうケースが後を絶ちません。亡くなった兄弟姉妹を相続人から除外して手続きを進めた結果、後からその子である甥・姪が現れて「自分にも相続権があるはずだ」と主張し、遺産分割協議をすべてやり直す、といった事態も起こり得るのです。
数次相続とは?相続手続き中に相続人が亡くなった場合の注意点
相続の実務で、近年とくにトラブルになりやすいのが数次相続(すうじそうぞく)です。
数次相続とは、ある相続(一次相続)の手続きが完了しないうちに、相続人の一人が亡くなり、さらに次の相続(二次相続)が発生することをいいます。
代襲相続との違いは「いつ亡くなったか」
数次相続と混同されやすいのが、前述した代襲相続です。両者の違いは、亡くなった「タイミング」にあります。
亡くなる時期:被相続人より前または同時
法律関係:最初から相続人が交代する
実務の難易度:比較的単純
亡くなる時期:被相続人の後
法律関係:相続が連鎖的に発生する
実務の難易度:非常に複雑
👉 相続開始後に亡くなった場合は、代襲ではなく数次相続になります。
【具体例】数次相続が発生する典型ケース
ケース
父Aが亡くなり、相続人は妻Bと子Cだった。 しかし、遺産分割協議が終わらないうちに、相続人の一人である妻Bが亡くなった。
この場合、
- 父Aの相続(一次相続)が発生
- その途中で、妻Bの相続(二次相続)が発生
という数次相続の状態になります。
結果として、
- 父Aの遺産について
- 本来Bが取得するはずだった相続分は
- Bの相続人(例えばCやBの親族)に引き継がれる
ことになり、相続関係者が一気に増えるのが数次相続の最大の特徴です。
数次相続が危険な理由|実務上の3つの落とし穴
数次相続を正しく処理できないと、次のような問題が起こります。
一次相続と二次相続、それぞれで相続人調査が必要になり、思いもよらない親族が関係者になることがあります。
相続人の人数が増えるほど、意見がまとまらない、連絡が取れない、感情的な対立が生じる、といったリスクが高まります。
数次相続を見落としたまま遺産分割協議を進めると、後から「本来の相続人が参加していない」として協議自体が無効になる可能性もあります。
数次相続では「相続人調査」が最重要
数次相続が発生している場合、
- 一次相続の被相続人の戸籍
- 二次相続の被相続人の戸籍
それぞれについて、出生から死亡までの連続した戸籍収集と精査が不可欠です。
この作業を一般の方が行うのは非常に負担が大きく、実務では専門家による相続人調査が事実上不可欠なケースがほとんどです。
弁護士が数次相続に関与すべき理由
数次相続は、単なる書類手続きではなく、
- 法律上の相続関係の整理
- 無効リスクを避けた遺産分割の設計
- 将来の紛争を見据えた調整
が求められるため、法的判断を伴う弁護士の関与が極めて重要です。
「相続人の一人が途中で亡くなった」 「相続手続きが長引いている」 このような場合は、数次相続が発生している可能性があります。 早い段階で専門家に相談することが、結果的に最も円満で確実な解決につながります。
相続人調査でよくある失敗とトラブル事例
- 思い込みで判断:「相続人は妻と子どもたちだけ」と思い込み、戸籍をきちんと確認しない。
- 戸籍の収集漏れ:亡くなった方の「出生から死亡まで」の全ての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)を集めきれていない。
- 戸籍の読み間違い:古い戸籍は手書きで読みにくく、認知や養子縁組など重要な情報を見落としてしまう。
- 代襲相続の見落とし:先に亡くなった兄弟姉妹に子どもがいる可能性を考慮しない。
これらの失敗は、時間も費用も余計にかかるだけでなく、親族間の感情的な対立を生む最たる原因となります。
相続人調査に関してよくある質問【FAQ】
※特にご相談の多い「代襲相続」「数次相続」について、よくある質問をまとめました。
Q1 相続人の範囲は、戸籍を見ればすぐ分かりますか?
A.
一見すると簡単そうに見えますが、実務では「出生から死亡までの連続した戸籍」を正確に読み解く必要があります。特に、養子縁組・認知・代襲相続がある場合、専門知識なしでの判断は非常に危険です。
Q2 代襲相続を見落とすと、どうなりますか?
A.
後から本来の相続人(甥・姪・孫など)が現れ、
- ✅ 遺産分割協議のやり直し
- ✅ 不動産名義変更の無効
- ✅ 親族間トラブル・訴訟
に発展するケースがあります。
Q3 相続人調査だけを弁護士に依頼することはできますか?
A.
はい、可能です。相続人調査のみのご依頼から、遺産分割・紛争対応まで、状況に応じて柔軟に対応できます。
Q4 数次相続とは、どのような場合に発生しますか?
A.
数次相続は、相続手続きが完了しないうちに、相続人の一人が亡くなった場合に発生します。たとえば、遺産分割協議の途中で配偶者や子が亡くなった場合、その人の相続(次の相続)が重なり、数次相続となります。
Q5 数次相続と代襲相続は何が違うのですか?
A.
最大の違いは、相続人が亡くなった「タイミング」です。
- 代襲相続:被相続人よりも前または同時に亡くなっている
- 数次相続:被相続人の後に亡くなっている
数次相続では、相続が連鎖的に発生するため、相続人の範囲や手続きが大幅に複雑になります。
Q6 数次相続が発生すると、相続人は誰になりますか?
A.
一次相続で本来取得するはずだった相続分は、亡くなった相続人の相続人(配偶者・子・親など)に引き継がれます。
その結果、
- 一次相続の相続人
- 二次相続の相続人
の両方が関係者となり、想定以上に相続人が増えるケースも少なくありません。
Q7 数次相続を見落とすと、どのような問題がありますか?
A.
数次相続を見落としたまま手続きを進めると、
- 本来参加すべき相続人が欠けたまま遺産分割協議をしてしまう
- 後から協議の無効を主張される
- 不動産の名義変更や預金解約をやり直す必要が生じる
など、手続きのやり直しや深刻な親族トラブルにつながるおそれがあります。
相続人調査を弁護士に依頼すべき理由
「なんだか、思ったよりずっと複雑そうだ…」 そう感じられた方も多いのではないでしょうか。その感覚は、決して間違いではありません。
相続人調査は、法律知識と正確な事務処理能力が求められる、非常に専門的な作業です。だからこそ、私たち弁護士のような専門家にご依頼いただくメリットがあります。
職務上の権限で戸籍をスムーズに収集し、複雑な家族関係や代襲相続の有無を正確に読み解き、相続人を法的に確定させます。
平日の昼間に役所を何度も回ったり、読みにくい戸籍と格闘したりする手間から、あなたを解放します。
調査段階で全ての相続人を洗い出すことで、後々の紛争リスクを根本から断ち切ります。
相続人調査後の遺産分割協議、不動産の名義変更(提携司法書士と連携)、相続税の申告(提携税理士と連携)まで、トータルでサポートが可能です。
まとめ
相続人の見落としは、手続き完了後に発覚することが最も深刻です。
「まだ揉めていない今」こそ、専門家に確認する価値があります。
もしあなたが、 「相続人の範囲がよくわからなくて不安…」 「相続手続きを始めたけれど、戸籍の収集で挫折しそうだ」 「将来の相続で揉めないように、今から準備しておきたい」 と少しでも感じていらっしゃるなら、どうか一人で抱え込まないでください。
蒼生法律事務所( https://sousei-law.jp/ )では、大阪・関西エリアを中心に、相続人調査をはじめとする相続案件を数多く取り扱っています。
※ 大阪・関西エリアで相続人の調査にお困りの方は、地域事情に精通した弁護士に相談することが重要です。
初回のご相談にあたっては、
- 資料が揃っていなくても
- 何を聞けばよいか分からなくても
問題ありません。
「何から手をつければいいか分からない」という段階でも問題ありません。
- 状況整理が中心でも大丈夫です。
- その場で結論を出す必要はありません。
「今の状態を確認するだけ」のご相談でも問題ありません。
必ずしもご依頼いただく必要はありません。
初回相談では、代表弁護士・平野 潤が直接お話を伺います。
※ご相談内容は厳重に管理し、外部に漏れることはありませんので、ご安心ください。
【お問い合わせ先】
蒼生法律事務所(代表弁護士 平野 潤)
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いつでもお気軽にお電話・メールなどでご連絡ください。お待ちしております。

2004年の弁護士登録以降、個人・法人問わず幅広い事件を担当し、クライアントにとっての重大事には誠実かつ丁寧に寄り添う。命運に配慮し、最善策を模索。豊富な実績と十分なコミュニケーションで、敷居の高さを感じさせない弁護士像を追求してきた。1978年大阪府出身、京都大学法学部卒業。2011年に独立。不動産・労務・商事・民事・破産・家事など多様な分野を扱い、2024年6月に蒼生法律事務所へ合流。相続・遺言


