
期限切れ・預金の引出し・勘違いにより、本来支払う必要のなかった借金を背負わなければならなくなったケースは少なくありません。
本記事では、実務で多い失敗事例7つと、失敗を避ける具体策を弁護士が解説します。
もし、次のような状況に一つでも当てはまる場合、
相続放棄は「すでに失敗している」または「失敗寸前」の可能性があります。
- ✅ 亡くなってから3か月以上経っている
- ✅ 借金の存在を最近知った
- ✅ 故人の預金を一部でも引き出した
- ✅ 「遺産はいらない」と口約束や書面だけで済ませた
- ✅ 役所や裁判所の手続きがよく分からない
このまま何もしないと、本来負う必要のなかった借金を支払うことになるケースも少なくありません。
▶ 相続放棄が「まだ間に合うか」確認したい方は【無料相談】へ
今回は、相続問題に日々向き合っている弁護士の視点から、皆さんが陥りがちな「相続放棄の失敗事例」を7つのケースに分けて、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
- 【ケース1】相続放棄の3か月期限|「死亡日から」と勘違いしていた
- 【ケース2】疎遠だった親族の相続|財産調査をせず期限を過ぎた
- 【ケース3】相続放棄の方法|「遺産はいらない」と言っただけで相続放棄したつもりになっていた
- 【ケース4】預金の引き出し|相続放棄前に故人の預金を引き出してしまった
- 【ケース5】相続放棄は撤回できる?|相続放棄は後から撤回できると思っていた
- 【ケース6】自分でできる?|自分で手続きを進めて書類収集が間に合わなかった
- 【ケース7】後順位者への影響|自分だけ相続放棄して、親族に借金が移ることを知らなかった
- 【FAQ】相続放棄でよくある質問
- 相続放棄で失敗しないために【弁護士へ相談すべき理由】
- おわりに
【ケース1】相続放棄の3か月期限|「死亡日から」と勘違いしていた
「相続放棄は3ヶ月以内に」という話は、多くの方が聞いたことがあるかもしれません。これが、相続放棄における最も重要で、最も厳しいルールです。
この期間は「熟慮期間(じゅくりょきかん)」と呼ばれ、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」と定められています。
Aさんは、お父様が亡くなってから半年後、消費者金融から「お父様の借金を相続したので支払ってください」という通知を受け取りました。「死亡からもう6ヶ月も経っているから、相続放棄はできない」と諦め、途方に暮れてしまいました。
Aさんのケース、実はまだ相続放棄できる可能性が高いです。
多くの方が勘違いしているのが、「亡くなった日から3ヶ月」だという点です。
正しくは「自分が相続人になったと知った日から3ヶ月」です。
つまり、Aさんのように、お父様が亡くなった事実は知っていても、借金の存在を知らず、自分が返済義務を負う相続人になったと認識していなかった場合は、「借金の存在を知った日(=督促状が届いた日)」から3ヶ月以内であれば、相続放棄の手続きが認められる可能性があります。
「もう期限切れだ」とご自身で判断する前に、まずは専門家にご相談ください。
【出典】 相続の承認又は放棄の期間の伸長(裁判所)、https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_25/index.html
【ケース2】疎遠だった親族の相続|財産調査をせず期限を過ぎた
ケース1のように期限後に放棄が認められるには「もっともな理由」が必要です。しかし、その理由が認められず、失敗に終わるケースもあります。
Bさんは、10年以上疎遠だった兄が亡くなったと人づてに聞きました。特に財産もないだろうと思っていると、兄の借金の保証人になっていた債権者から多額の請求を受けました。それでもBさんは、「兄とは疎遠だったし、借金のことも知らなかった」と主張し、慌てて相続放棄の手続きをしましたが、裁判所は相続放棄を認めてくれませんでした。
なぜBさんの主張は認められなかったのでしょうか。 それは、「亡くなった事実を知っていたのに、財産調査を怠っていた」と判断されたためです。
裁判所が期限後の申立てを認めるのは、「相続財産が全くないと信じ、かつ、そのように信じたことに相当な理由がある」場合などに限られます。
ただ「疎遠だった」「知らなかった」だけでは理由として弱く、「知るための努力をしなかった」と見なされてしまうのです。
「借金があるかもしれないが、よく分からない…」という場合は、3ヶ月の熟慮期間内に家庭裁判所へ「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立て、財産調査の時間を確保する必要があります。調査を何もしないまま放置するのは非常に危険です。
【弁護士からの実務上の注意】
期限後の相続放棄が認められるかどうかは、
✅ どの事実を「いつ知ったか」
✅ 裁判所にどう説明するか
で結果が大きく変わります。
自己判断で申立てをすると、「理由が不十分」として却下されるケースも少なくありません。
【ケース3】相続放棄の方法|「遺産はいらない」と言っただけで相続放棄したつもりになっていた
このケースは、実務上「非常に多い失敗例」です。
特に、
✅ 遺産分割協議書に「放棄する」と記載され、署名している
✅ 他の相続人も「放棄したと思っている」
このような場合、後からトラブルになることも珍しくありません。
相続放棄の「方法」に関する、非常に危険な勘違いです。
Cさんは、お母様が亡くなった後、兄弟との話し合い(遺産分割協議)の場で、「お母さんの借金もあるみたいだし、私は何もいらないから相続を放棄します」と伝え、兄弟もそれに同意。その旨を記した遺産分割協議書に署名・捺印しました。これで安心と思っていた数ヶ月後、Cさんの元に金融機関から借金の督促状が届いてしまいました。
Cさんが失敗した理由は、相続放棄を「家庭裁判所で行う正式な手続き」だと知らなかった点にあります。
「相続人同士の話し合い」と「裁判所での法的な手続き」は全くの別物。この違いを理解していないと、後で大変なことになります。
【ケース4】預金の引き出し|相続放棄前に故人の預金を引き出してしまった
相続放棄を検討しているなら、絶対にしてはいけないことがあります。それは「相続財産を処分すること」です。
・「葬儀費用だから大丈夫だと思った」
・「一時的に立て替えただけ」
このような理由があっても、裁判所が単純承認と判断するケースは実際にあります。
どこまでが許されるかは、事案ごとに慎重な判断が必要です。
Dさんは、お父様が亡くなった後、入院費用の支払いや当面の生活費のため、お父様の銀行口座から預金を引き出して使ってしまいました。その後、多額の借金が発覚したため相続放棄をしようとしましたが、裁判所からは「あなたはすでに財産を相続する意思を示した(=単純承認した)と見なされるため、放棄は認められません」と言われ、相続放棄が認められませんでした。
相続財産(預金、不動産、車など)を処分したり、使ってしまったりする行為は、法律上「私は財産も借金もすべて相続します」と宣言したこと(単純承認)と同じ意味を持ちます(民法921条1項)。
一度、単純承認と見なされると、原則として相続放棄はできなくなります。 よくあるのが、以下のような行為です。
ただし、社会通念上相当な範囲で葬儀費用を支払う場合などは、例外的に認められることもあります。しかし、判断が非常に難しいため、故人の財産には一切手を付けず、すぐに専門家に相談するのが最も安全です。
▶ 「これ、自分のケースかも」と思った方は
早めのご相談が重要です(初回無料)
【ケース5】相続放棄は撤回できる?|相続放棄は後から撤回できると思っていた
Eさんは、お父様に借金があると思い込み、慌てて相続放棄の手続きを済ませました。しかしその1ヶ月後、遺品整理をしていたら、お父様がへそくりとして遺した数百万円の現金と、価値のある骨董品が見つかりました。「借金は勘違いだった。相続放棄を撤回したい」と家庭裁判所に訴えましたが、認められませんでした。
相続放棄は、他の相続人や債権者など、多くの人の利害に関わる非常に重要な法的手続きです。そのため、安易に覆すことはできず、「詐欺」や「強迫」によって無理やりさせられた、といった特殊な事情がない限り、撤回は認められません。
「借金がある“かもしれない”」という不確かな情報だけで焦って放棄してしまうと、後でプラスの財産が見つかった時に後悔することになります。だからこそ、熟慮期間内にきちんと財産調査を行うことが何よりも大切なのです。
【ケース6】自分でできる?|自分で手続きを進めて書類収集が間に合わなかった
「費用を節約したい」と、ご自身で手続きを進めようとする方も少なくありません。もちろん自分で相続放棄の手続を行うこと自体は可能ですが、思わぬ落とし穴があります。
Fさんは、自分で相続放棄をしようと、必要書類である戸籍謄本(こせきとうほん)を集め始めました。しかし、亡くなった父は転勤や再婚で何度も転籍を繰り返しており、生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本を揃えるのに手間取ってしまいました。ようやく書類が揃った頃には、3ヶ月の期限を過ぎてしまっていました。
相続放棄に必要な戸籍謄本は、単に「最新のもの1通」ではありません。誰が相続人になるかを確定させるために、亡くなった方の「出生から死亡まで」の連続した戸籍謄本や、相続人全員の現在の戸籍謄本など、事案によっては非常に多くの書類が必要になります。
本籍地が遠方にあれば郵送で取り寄せることになり、時間もかかります。普段見慣れない古い戸籍の解読に苦労する方も少なくありません。
「自分でできそう」と思っていても、気づけば期限が迫っている、という事態は頻発します。時間的な余裕がない場合や、戸籍の収集が複雑そうな場合は、最初から専門家に任せた方が確実かつスピーディです。
【出典】 相続放棄の申述(裁判所)、https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
【ケース7】後順位者への影響|自分だけ相続放棄して、親族に借金が移ることを知らなかった
相続放棄で最も見落とされがちなのが、他の親族への影響です。
Gさんは、父の借金が分かったため、自分と自分の子供(父の孫)の相続放棄を済ませ、「これで一安心」と思っていました。そのため、父の兄弟姉妹(Gさんの叔父叔母)には、父の借金のことも、自分たちが相続放棄をしたことも伝えていませんでした。すると、数ヶ月後、父の弟である叔父から「お前のせいで借金の督促が来たじゃないか!」と怒りの電話がかかってきて、トラブルになってしまいました。
相続権には順位があります。ある順位の人が全員相続放棄をすると、次の順位の人に相続権(と借金)が移ってしまうのです。
Gさんのケースでは、第1順位であるGさんとその子供が放棄したため、第2順位の祖父母(既に死亡)を飛び越え、第3順位であるお父様の兄弟(Gさんの叔父)に借金の返済義務が移ってしまったのです。
自分だけ手続きをすれば終わり、ではありません。相続放棄をする際は、次に相続人になる可能性のある親族に必ず連絡し、事情を説明する社会的・道義的責任があります。これを怠ると、深刻な親族トラブルに発展する恐れがあります。
【FAQ】相続放棄でよくある質問
相続放棄で失敗しないために【弁護士へ相談すべき理由】
ここまで見てきたように、相続放棄には多くの落とし穴があります。一つでも判断を誤ると、多額の借金を背負ったり、トラブルに巻き込まれることになりかねません。
私たち弁護士にご依頼いただければ、以下のようなサポートが可能です。
そもそも放棄すべきかどうかの的確なアドバイスをします。
相続の承認又は放棄の期間の伸長を家庭裁判所に申立てます。
精神的な負担が大きく軽減されます。
おわりに
相続放棄は、
「迷っている間」に時間が過ぎてしまって失敗する手続きです。
まだ間に合う可能性があるかどうか、
まずは弁護士に確認してみてください。
「本来は放棄できたはずの方」が、
手続きミスで借金を背負ってしまうケースを、
私たちは数多く見てきました。
「うちのケースはどうなんだろう?」「もう手遅れかもしれない…」
もし少しでも不安を感じたら、どうか一人で悩まず、抱え込まずに、私たち相続の専門家にご相談ください。あなたの状況を丁寧にお伺いし、最善の解決策をご提案します。
※特に次のような方は、お早めのご相談をおすすめします。
・相続開始から1~2か月が既に経過している
・借金や保証の有無が分からない
・葬儀費用を遺産から出していいか迷っている
蒼生法律事務所( https://sousei-law.jp/ )では、大阪・関西エリアを中心に、相続放棄を含む相続案件を多数取り扱っています。
【当事務所が相続放棄で選ばれる理由】
・相続放棄の相談・依頼を多数取り扱ってきた実績
・期限ギリギリ、期限後の難しい案件にも対応
・ご依頼後は、債権者からの連絡はすべて弁護士が対応
・親族間トラブルを防ぐための事前調整も重視
初回のご相談にあたっては、
・資料が揃っていなくても
・何を聞けばよいか分からなくても
問題ありません。
・状況整理が中心で
・その場で結論を出す必要はありません。
「今の状態を確認するだけ」のご相談でも問題ありません。
必ずしもご依頼いただく必要はありません。
初回相談では、代表弁護士・平野 潤が直接お話を伺います。
※ご相談内容は厳重に管理し、外部に漏れることはありませんので、ご安心ください。
【お問い合わせ先】
蒼生法律事務所(代表弁護士 平野 潤)
住所:大阪市北区西天満4丁目1番20号 リープラザ301
📞 お電話:06-6809-3033
✉ メール:souseilaw33799@gmail.com
🌐 公式サイト:https://sousei-law.jp/
いつでもお気軽にお電話・メールなどでご連絡ください。お待ちしております。

2004年の弁護士登録以降、個人・法人問わず幅広い事件を担当し、クライアントにとっての重大事には誠実かつ丁寧に寄り添う。命運に配慮し、最善策を模索。豊富な実績と十分なコミュニケーションで、敷居の高さを感じさせない弁護士像を追求してきた。1978年大阪府出身、京都大学法学部卒業。2011年に独立。不動産・労務・商事・民事・破産・家事など多様な分野を扱い、2024年6月に蒼生法律事務所へ合流。相続・遺言


