相続トラブルの中でも特に多いのが、
- 「全財産を特定の相続人に相続させる」という遺言
- 一部の相続人だけに行われた高額な生前贈与
によって、配偶者や子の取り分が極端に少なくなるケースです。
この記事では、主に大阪・関西で相続案件を扱う弁護士の視点から、
- 遺留分侵害額請求の意味
- 請求できる人・できない人
- 金額の計算方法
- 手続の流れ
- 期限(時効)で失敗しないための注意点
を、初めての方にも分かるように整理しています。
【30秒チェックリスト】あなたは遺留分侵害額請求ができる?
- 遺言書(または遺産分割の合意)で「自分の取り分がほぼゼロ/極端に少ない」
- 特定の相続人や第三者に大きな生前贈与・遺贈がある(不動産・株式・預金など)
- 相続開始や遺留分侵害を知ってから「1年」が迫っている(または不明で不安)
- 遺産の全体像(預金・不動産・保険・贈与歴)が把握できていない
- 相手が話し合いに応じない/連絡を遮断している
- 不動産が多く、支払い方法(分割・代償金)が争点になりそう
- 調停・訴訟も視野に入れて、早めに証拠と手続きを整えたい
1. 遺留分侵害額請求とは?
遺留分侵害額請求とは、遺言や生前贈与などにより、法律上保障された最低限の相続分(遺留分)が侵害された場合に、侵害された相続人が、その侵害額に相当する金銭の支払いを求める権利です。期限管理(1年・10年)が最重要ポイントになります。
【ポイント(2019年改正)】従来の「遺留分減殺請求」では現物の返還が中心でしたが、改正により原則「金銭請求」に一本化され、不動産の共有化を避けて解決しやすくなりました。
2. なぜ遺留分制度があるの?
例えば「全財産を長男に相続させる」と遺言が残された場合、他の相続人(配偶者や次男など)は何も受け取れない可能性があります。
こうした極端な不公平を防ぐため、法律は一定の相続人に遺留分を保障しています。
3. 遺留分の基本(割合・対象者)
遺留分を持つのは、兄弟姉妹を除く法定相続人(配偶者・子・直系尊属)です。兄弟姉妹には遺留分がない点は非常に重要なポイントです。
| 相続人の組み合わせ | 遺留分の割合(遺産全体の) |
|---|---|
| 配偶者+子 | 1/2 |
| 子のみ | 1/2 |
| 配偶者のみ | 1/2 |
| 直系尊属のみ(親など) | 1/3 |
| 兄弟姉妹 | なし(遺留分なし) |
4. 【具体例】遺留分侵害額の計算(ざっくり理解)
相続財産の総額と、相続人の構成(法定相続分)・遺留分割合を基に、侵害されている遺留分の金額を計算します。相続財産には、死亡時の財産だけでなく、一定の生前贈与が加算される場合があります。
〈ケース〉
- 被相続人:父
- 遺産総額:1億円
- 相続人:母・長男・次男
- 遺言内容:「全財産を長男に相続させる」
〈計算のイメージ〉
遺産1億円の 1/2 が遺留分の対象 → 5,000万円
遺留分は母と次男で折半 → 2,500万円ずつ請求可能
※実際の算定では、特別受益・寄与分、贈与の範囲、財産評価(不動産・株式)などで金額が大きく変わることがあり、専門的判断が必要です。
5. 遺留分侵害額請求が問題になる典型パターン
例:「全財産を長男に相続させる」→ 次男や配偶者は遺留分を請求可能
例:「長男にだけ高額不動産を生前贈与」→ 他の相続人が補填を求められることがある
例:「全財産を内縁の配偶者に遺贈」→ 法定相続人は遺留分を請求できる
6. 遺留分侵害額請求の手続き(流れ)
「遺留分侵害額請求権を行使する」ことを明確に伝え、証拠化します。
相手が応じれば、支払方法(分割・期限・担保など)を合意し、合意書を作成します。
話し合いが難しい場合、調停で解決を図ります。
最終的に裁判で侵害額を確定し、判決に基づき回収を図ります。
「通知→交渉→調停→訴訟」までを一気通貫で設計できると、期限管理・証拠整理・財産評価がブレにくく、解決までの見通しが立ちやすくなります。
7. 遺留分減殺請求の期限(時効)【重要】:1年・10年(+請求後の5年にも注意)
遺留分侵害額請求には期限があり、過ぎると請求できなくなるおそれがあります。
| 期限の種類 | 期間 |
|---|---|
| 遺留分侵害を知った時から | 1年以内 |
| 相続開始(死亡日)から | 10年以内 |
【重要】「知った日」が争点になることがあります。受け取った資料(遺言書の謄本・検認日・通知書など)の日時を記録し、早めに内容証明で権利行使するのが安全です。
【さらに重要】遺留分侵害額請求を「行使した後」に発生する金銭支払請求権にも、別途、消滅時効(原則5年)が問題になることがあります。通知して安心せず、交渉・調停・訴訟の方針まで含めて設計しましょう。
【FAQ】よくある質問
A. できません。遺留分が認められるのは、配偶者・子・直系尊属です。
A. 方式に決まりはありませんが、後日の争いを避けるため、配達証明付きの内容証明郵便で証拠化するのが一般的です。
A. まずは期限内に「権利行使の意思表示」をしておき、財産調査・評価を進めてから金額を詰める対応が実務上も取られます。
A. いいえ。通知後に発生する金銭請求権にも別の時効(原則5年)が問題となることがあるため、手続の見通しを立てて進めましょう。
A. 分割払い・代償金の調整・担保設定など、支払方法の設計が重要になります。
8. よくある失敗(やってはいけない)→回避策
✓ 「知った日」の記録を取り、早めに内容証明で意思表示しておく
✓ 相続人調査・財産調査(預金・不動産・贈与歴)を早期に着手する
✓ 冷静に努め、書面・メール中心に証拠を残す
✓ 受贈者・受遺者が複数の場合、誰に請求するかを整理する
※受贈者・受遺者が相続人以外の第三者の場合、その相手方が請求対象になることがあります。
9. 弁護士に相談すべき「境界線」(タイミング)
次のようなケースでは、早期に弁護士へ相談するメリットが大きいです。
- 相続人の範囲が複雑(代襲相続・数次相続・認知・養子縁組など)
- 生前贈与が多い/贈与の時期・額が不明
- 不動産・株式が中心で評価が難しい
- 相手が高圧的・連絡拒否・資料開示に非協力
- 調停申立て・訴訟提起を視野に入れる必要がある
- 相続税申告との調整が必要になりそう
※事情や資料が整理できていない段階でも問題ありません。遺留分侵害額を正確に計算できなくても問題ありません。
10. まとめ
- 遺留分侵害額請求は、遺留分を侵害された相続人が、侵害額の金銭支払いを求める権利
- 2019年改正で「現物返還」から「金銭請求」が中心へ
- 兄弟姉妹には遺留分がない
- 期限は「知った時から1年」または「相続開始から10年」
- 通知後に発生する金銭請求権の時効(原則5年)にも注意
- 期限管理・財産評価・証拠化がカギ。早期相談で選択肢が広がる
※遺留分侵害額請求は、初動が非常に重要です。期限と証拠の管理が結果を大きく左右します。先ずは状況の整理だけでも始めませんか?
蒼生法律事務所へのご相談について
蒼生法律事務所( https://sousei-law.jp/ )では、大阪・関西エリアを中心に、遺留分減殺請求を含む相続案件を数多く取り扱っています。
初回のご相談にあたっては、
・資料が揃っていなくても
・何を聞けばよいか分からなくても
問題ありません。
「何から手をつければいいか分からない」という段階でも問題ありません。
・状況整理だけのご相談でも大丈夫です。
・ご相談内容がまとまっていなくても問題ありません。
・その場で結論を出す必要はありません。
・必ずしもご依頼いただく必要はありません。
初回相談では、代表弁護士・平野 潤が直接お話を伺います。
※ご相談内容は厳重に管理し、外部に漏れることはありませんので、ご安心ください。
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参考:引用サイト
| 参考資料 | URL |
|---|---|
| 相続に関するルールが大きく変わります(法務省) | https://www.moj.go.jp/content/001318284.pdf |
| 遺留分制度の見直し(法務省) | https://www.moj.go.jp/content/001263488.pdf |

2004年の弁護士登録以降、個人・法人問わず幅広い事件を担当し、クライアントにとっての重大事には誠実かつ丁寧に寄り添う。命運に配慮し、最善策を模索。豊富な実績と十分なコミュニケーションで、敷居の高さを感じさせない弁護士像を追求してきた。1978年大阪府出身、京都大学法学部卒業。2011年に独立。不動産・労務・商事・民事・破産・家事など多様な分野を扱い、2024年6月に蒼生法律事務所へ合流。相続・遺言


